ゴシック・フランケン
古典モンスターの三番目は『フランケンシュタインの怪物』です。
メアリ・シェリーによる小説『フランケンシュタイン──或いは現代のプロメテウス』で産声をあげ、映画化されました。白黒ではボリス・カーロフ、最近ではロバート・デニーロが怪物役を演じています。
よく間違われる事ですが、フランケンシュタインとは怪物の名前ではありません。怪物──人造人間を造ったヴィクター・フランケンシュタイン博士の事です。
ヴィクターは医者の家に生まれましたが、元気だった母がお産の際に死亡した事に影響を受け、『死なない研究』に着手します。
それは上手くいかず、『死体を復活させる研究』に切り替わり、そうして産まれたのが『怪物』でした。ヴィクターは怪物を棄ててしまいますが、怪物はなんとか生き延びます。
生き延びる際に怪物は人間の情愛、そして排他性を学び、ヴィクターに再会します。
「自分と同じ“女”を与えてくれたならその女と二人で遠くへ行き人間と関わらない」
ヴィクターに人造人間製作を拒まれた怪物は……ヴィクターの婚約者を殺します。
ヴィクターにより再生した婚約者は己の姿に絶望し自殺してしまいます。
その後、ヴィクターと怪物は追いつ追われつの追跡劇を続けました。ヴィクターは怪物を殺す為、また怪物から逃げる為に世界各地を点々とし……
ヴィクターは砕氷船のベッドで死に、怪物は嘆き悲しみます。船長に涙の訳を問われ「それでも父親だから」と答え、ヴィクターを抱えて氷海に消えていきます。
『怪物』は人間の情愛と理性を学びながらも、合理的にヴィクターの婚約者を殺します。他の女性ではヴィクターが復活させないと予測したのですね。
情を持ち常識的な人間なら行わない行為でも、割り切っている訳です。ここに人間と『怪物』のズレがあり、人間社会に現れたモンスターの恐怖と悲哀という考えが生まれました。
怪物の悲哀は『人間と人間以外との感覚のズレ』としてロボットその他を扱う作品に影響を与えています。
ホラー作品にオリジナルモンスターを出す場合、『人間の思考を理解しても自分の行為に反映しない』事から生まれる恐怖と悲劇を組み込みたいものです。