宇宙からの
宇宙からの恐怖と書くと宇宙人の地球侵略をイメージするかと思います。
しかしそれは毛並みの違う戦争映画ですね?
ここではホラーとして成立している二作を紹介したいと思います。
『遊星からの物体X』
ホラー監督ジョン・カーペンター畢生の作と謂っても過言では無いでしょう。
南極観測アメリカ基地に一匹のハスキー犬が走り込む。その後を追ってきたヘリの乗員が銃を乱射。アメリカ隊隊長に射殺される。
ヘリはノルウェー隊のものだった。
ノルウェー基地へ調査に向かった主人公マクレディは壊滅した基地で異様な死体を発見、アメリカ基地に運び込む。
逃げてきたハスキー犬はその正体をあらわし、奇怪な姿に変貌したところを発見され隊員達に倒される。
隊員の医師と生物学者の調査から犬は未知の生物による擬態である事が確認された。
この物語はジョン・キャンベルの短編『影が行く』を原作に映像化されました。公開当初SFX技術にばかり注目された作品でしたが、何度観ても面白い作品です。
吹雪の南極観測基地。他国の基地は数十キロ離れ無線も不調、おまけに隊員の一人が『生物』を逃がさない為に長距離移動用のヘリを破壊。
全く逃げ場の無い環境で隊員達は疑心暗鬼に囚われます。
誰が『生物』の化けた偽者なのか?
もう一つの作品は皆様よく御存知『エイリアン』です。
宇宙貨物船ノストロモ号は地球への帰還途中、謎の通信を拾う。ノストロモ号を所有するウェイラン・ユタニ社の規約により調査に出向いた乗員は地球外生命体の船を発見する。
宇宙船内部にあったのは無数の卵。卵から孵った『生命体』に一人が襲われ、体内を養分に育った『生命体』がノストロモ号内部に脱走。乗員を次々に襲っていく。
監督リドリー・スコットは『悪魔のいけにえ』『エクソシスト』に感銘を受けてこの作品に着手したとされています。どちらも先述の通り事実を元にしたとされる作品という事で、リアリティーを追求した作品になりました。
この二つの作品に出てくる『宇宙生物』は全く違うタイプではありますが、共に閉鎖空間を舞台にして『判らない』恐怖を演出しています。
一方は誰が偽者か判らない。
もう一方は何処に潜んでいるか判らない。
また、極限状態に置かれた人間心理が描かれており、作中人物の台詞・行動はホラーの参考モデルに最適でしょう。