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好きになるほど

作者: 高谷咲希

あなたの優しさに触れる度。

私は自分が嫌いになっていく。


君への今までの想いは嘘だったかのように。

私から流れて消えていこうとする。


そして空っぽになった器の中に、あなたが入ってきてしまう。


君がいたこの場所に君はいなくて。

君がいた心にあなたがいる。


流れてくるのはあなたの笑顔で。

消えたのは私の涙。


消えたのは君の存在で。

流れてきたのはあなたの暖かい体温で。


あの日あの時、恋焦がれた君を忘れて。

あなたに縋る私は、なんて卑怯なのだろうか。


あなたが好きだと自覚する度に。

私は自分が嫌いになっていく。


好きになればなるほど、自分が嫌いになっていく。

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