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9.予感

そろそろ進展ががが

目が覚めた。視界に広がるのは白い石造りの天井だ。…この展開は完全に倒れていて気が付いたら病院だった、的なヤツだ。部屋は天井も壁も真っ白で、これまた白のベットに寝ていたらしい。実に病院らしい。


ボーッとそんな事を考えているとコンコンとノックが鳴り、いつもの3人が入ってきた。

「起きてるわね…。鈴音、あなたエスパーか何かなの?」

「そんな気がしただけ、だから…!」

「うっす、浩太~、元気してるか?」

一気に騒がしくなったな。


「俺どれぐらい寝てた?」

これはアレだな。テンプレでいうなら2,3日ぐらいだな。

「えっと…一週間、ぐらい?」

「正確には8日ね。」

…思いの外寝てた。原因は絶対にあの魔法だ。"薔薇園(ローズガーデン)"だったか。一瞬でほとんどの魔力を持っていかれたらしい。


それからは皆が最近やっていた事を聞いた。ここしばらくは座学を中心にこの世界の事を勉強していたらしい。地理や歴史、魔法原理にスキルなどなど…異世界に転移しても学校とやることが変わってないな。


「そういや、ちょっと気になる事があってな。これを見てくれ。」

拓磨がそう言って1枚の紙を取り出す。どうやらこの世界の地図らしい。だが、どこかで見たことがあるような…

「これイギリスの地図と似てないか?」

そういえばそうだ。イギリスの地形なんて世界全図ぐらいでしか見たことが無かったのでここまで拡大された地図だと分からない。でも言われてみれば似ていないこともない。


久し振りと言うこともあって話し込んでいたらもう5刻の鐘が鳴り始めていた。

「お、もうこんな時間か。じゃ、そろそろ行くわ。門限6刻だからな。」

「わかった。気を付けて行けよ。」

「分かってるって。あとさっさと戻ってこいよ、リーダーがいないとロクに訓練も出来ねぇんだから。」

「はいはい、すぐ戻るよ。」


3人が部屋から出ていったあとほぼ入れ違いになる形で兵士長とザレアが入ってきた。二人とも顔色がそんなに良くないように見えるが大丈夫だろうか。


「邪魔するぞ、調子はどうだ?」

兵士長がそう言うが明らかに兵士長の方が調子が悪そうだ。だが大人の気遣いというヤツか、ここは突っ込まないでおこう。


「はい、問題ありません。明日からは普通に過ごせると思います。」

「そうか、なら良かった。他の転移者にはもう話し事だが、3日後から迷宮(ダンジョン)に潜ることになってな。本来はもう少し後になるはずだったのだが、魔族の動きが早い。それで君にも迷宮(ダンジョン)攻略に参加してもらう。」


迷宮(ダンジョン)か、思いの外早かったな。ん?待てよ、今って確か戦争まっただ中で、俺たちはその戦争の戦力にさせる為に召還されたんじゃなかったか?

「他の転移者には座学で教えたんだけど、人魔戦争と言ってもここ80年はほぼ休戦状態になってるのさ。」

ザレアがここ1週間の間に座学で教えた歴史をかいつまんで話してくれた。

要約すると、100年前に始まった人魔戦争は最初の10年は人間側が順調に進撃していた。だが、90年前人間側が魔族の反攻(はんこう)作戦により前衛要塞(ぜんえいようさい)を失った。それにより戦線は10年間もの間膠着(こうちゃく)し、人魔間で休戦協定が結ばれたという。それから80年、人間も魔族も世界に乱立するダンジョンを積極的に攻略し、戦力を溜め込んでいる。ということだ。


「まぁ、そういうことだ。1~4班の者は明日から小隊単位での行動練習を行ってもらう。」

「わかりました。」

それだけ伝えると兵士長とザレアは失礼したな、とだけ言って部屋を出ていった。


翌日から俺は復帰し、1,3,4班と合同で小隊単位での行動練習をしていた。

この国の軍は集団の規模によって呼称を変えていて、最少が4人の"班"。班が4つくっついて16人になったものが"小隊"、それがさらに4つ合わさった64人の"中隊"、さらに4つ合わさり256人で"大隊"となる。

迷宮(ダンジョン)の攻略は班よりも小隊規模の方が安全面でも安定面でもいい。中隊になると人数が多過ぎて逆に動きづらくなる。


俺たちの小隊のリーダーは1班のリーダーである大久保大輝になったのだが、なかなか難航している。一番の問題はリーダーの指示が班の時に比べて届きにくい事だ。16人ともなると1人が指示を聞けず、別行動をするだけで大混乱になる。


ある程度練習した辺りでコツを掴み始めたのか、今までとは比べ物にならないぐらい上手く指示が通るよになり、最終的に2日かけて行動を何とか物に出来た。3日目はフォーメーションと役割の確認、後は班毎に訓練ということになった。


殿(しんがり)かー、嫌なもの引いちまったな~。」

拓磨が面倒くさそうに言う。俺たち2班は役割決めの結果、いざとなったときの殿を任されることになったのだ。

「そんな場面を作らなきゃいいんだよ。」

「なんでフラグ立てるのよ…」


この3日間、兵士長やザレア達監督の顔が常に険しかった。それだけ迷宮(ダンジョン)が辛いのかとも思ったが、未熟だが貴重な戦力である俺たちを悪戯に潰す理由もないのでそうでは無いだろう。


他の何かが起きる気がする。何も起きない事が1番のいいんだけどな。

週3ペース保てるかぁ?

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