6.スキル
戦闘描写下手すぎてもうね…
「作戦会議は終わったかな?」
俺たちが戦う監督チームのリーダー、ザレアが尋ねてくる。ザレアの手には鈴音の物と似た杖がある。つまりザレアも魔術師ということだ。
「あぁ、終わったよ。いつでもいける。」
俺とザレアは武闘場の中央で握手をし、3人の元へ戻る。
「よし、やるか。」
「おうよ!」「は、はい!」「うわっ、盾重っ。」
1人だけ言ってることが違う気がするが、まぁいいか。模擬戦闘とはいえ相手は現役の兵士、気を引き締めてやらないとな。
それからすぐに兵士長の声が聞こえてきた。
「では、2班の模擬戦闘を開始する。…戦闘開始っ!」
「最初の3分は"試し"だ。やれるヤツを全部試すぞ。」
そう言って俺は1つ目のスキルを使う。
「隠匿、効果はどんなものかねぇ。」
隠匿という名前だから何かを隠す、匿うといった感じだとは思うが…
「うわっ、浩太が消えたっ!」
拓磨の声が聞こえる。が俺の姿が見えていないらしい。つまり簡単に言えば疑似透明化ってヤツだな。人を隠すって事か。
「あー、お前らにもかけるから突っ込んでいいよ。」
拓磨に声をかける。アイツならこの文ですぐに理解するだろう。
「…ん、あぁ。オッケー浩太。よっしゃ行くぞ!」
拓磨が監督チームに突っ込んでいく。ちょうど監督チーム全員の視線が拓磨に向いたタイミングで2班全員に隠匿をかける。
「ッチィ!スキルかっ!全員視線を反らせ!探そうとすれば見えなくなるぞ!」
ザレアの叫ぶ声が聞こえる。どうやら隠匿はそれを意識している相手にしか効かないらしい。使い方は考えないとダメだな。
「見つけたっ!カイ、右だ!」
ザレアが叫ぶと同時にカイと呼ばれた剣士が右に向き直る。拓磨との距離は3mちょっとあり、ギリギリ槍の範囲に入っていない。もう完全に見えているらしいし、防がれそうだ。
「ふん、舐めんな!"空間拡張"!」
拓磨がそう言うと急に槍の矛先が歪んだ。かと思えば槍の矛先は既にカイの右腕を捉えていた。そのまま連続で左腕、右足、左足を狙って攻撃するが、それは全て弾かれてしまう。流石は現役、慣れが違う。
「槍の攻撃範囲を伸ばすか…初めてとは思えないなぁ!」
拓磨はその後も突きと振りを混ぜて攻撃するが、カイは傷ついた腕を気にすることもなく、全ての攻撃をいなし続ける。
拓磨は押しきれないと判断したのかバックステップで少し距離を取り、こちらを指差してきた。
「おい浩太!お前絶対無理だと思ったろ!」
絶対最初の攻撃の事だな。1割程の怒りと9割のドヤ顔が混ざった顔だ。イラッとくるぞ、アレ。
その言葉を発する一瞬の隙をついて監督チームの槍使いの槍が拓磨に殺到する。
「っ!?拓磨前見ろ!」
確実に監督チームの槍が拓磨に命中した、そう思った。だが、実際はそうならなかった。
いつの間にか拓磨の前に入った薫が槍を完全に防いでいたからだ。それも何の音も立てずに。
「はぁ…これだから馬鹿は。」
薫のあきれ声が響く。何事も無いかのように防いでいるが、足元の地面が砂とはいえ少し凹んでいる。相当な威力だったハズだ。
あの一撃を防がれるとは思わなかったのだろう。攻撃を防がれた槍使いは一瞬顔を歪めたが、すぐに真顔に戻り尋ねる。
「どうやって防いだ?今の攻撃は生半可はガードじゃ衝撃を受けきれずにふっ飛ぶハズだ。」
「"衝撃吸収"。おかげで衝撃なんてほとんど無かったわ。」
盾と相性良すぎるだろ、それ。だが、衝撃吸収はあくまでも衝撃を減らすだけであり、重さや盾にかけられている力を減らしたりは出来ないらしい。凹んだ地面がその証拠だし、今も槍使いにだんだんと押されている。
「一回引こう。鈴音、頼む。」
「わっ、分かった!」
スキルを使っての奇襲のような攻撃ならダメージを与えられるが、正面から当たればこちらに分がないどころか負け必至だ。
「拓磨、薫、後ろに跳べ。」
「あいよっと。」「はい…はいっ!」
拓磨が軽く、薫が監督チームの槍使いの槍を一瞬だけ押し返して後ろに跳ぶ。
「そんなに盾を振りかぶったら隙だらけだぞ!」
槍使いが追撃を仕掛けてくる。がそれが届くことはない。なぜなら
「っ!結界か!」
槍使いが歯噛みする。結界は半透明な光の障壁で、物理攻撃をほとんど防いでくれる。アレが展開されている限り2人に槍の矛先が届くことはない。
こちらは1度攻めを止め全員集まる。監督チームは追撃をして来ず、一段落といったところだ。
「さて、スキル使った感想は?」
「「「簡単だった(でした)(よ)。」」」
全員即答。だ、がそれは俺も同感だった。このスキルというのは「使える道具」ではなく「体の一部」と言った感じのものだった。望めばその通りになる、腕や脚を動かすのと何ら変わりは無い。
「さて、第2ラウンドと行きたいが…あっちが騒がしいな~。」
そう言って俺は兵士長やクラスメイトのいる方を見る。朝の教室の様なざわつきではなく、町中で人が倒れてるみたいなそんなざわつきだ。
一部のヤツに関しては目が星になっている、ように見えなくもない。
「なぁ、浩太~俺ら何かしたか?」
「さぁな。いいからやるぞ。」
とりあえずは無視だ。無視しないと面倒な事になりそうだからな。
俺たちが攻めの姿勢に入ったと同時に兵士長から声がかかった。今までの初心者を労るような声色ではなく、本気というか真剣な声だ。
「ザレア、攻めていい。」
とても短く簡潔な言葉だ。だが、その言葉を聞いたザレアの頬がつり上がっている。
「りょーかいっ!」
アレはヤバイ。今のザレアの顔は完全に戦闘狂のそれだ。他の3人もザレア程では無いが、うっすらと笑みを浮かべている。…アイツら全員ただの戦闘狂じゃねぇか。
「お前ら注意しろ、さっきとは違うぞ。鈴音、結界を頼む。」
「分かった…!」
鈴音も何となく空気が変わったことに気づいた様で既に俺たちの周りに結界が展開されている。
さて、どこから攻めようかねぇ…。
近々2班メンバーのステータスをまとめて載せます…多分覚えてたら。