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5.模擬戦闘

初の戦闘(主人公じゃない)。

いつもより一層つたない文ですが、よろしくお願いします。

翌日、フォルスタリタ王城の武闘場(ぶとうじょう)にクラスメイト全員が武器を持って集められていた。前には兵士長や各班の監督役が並んでおり、全員が同じように武装をしている。時刻は(ぜん)の8刻半、学校ならこの時間に始業のチャイムが鳴り一日が始まるが、ここでは9刻からが一日の始まりらしい。


「浩太、これ絶対に実践練習だっ!って言われるヤツだよな。」

「いや、流石に昨日の今日でそれはないだろ。こっちはまだ猿が道具を持たされたレベルの素人だぞ。」

拓磨が楽しそうな顔をしている。武道をやっているというのもあるだろうが、拓磨はゲームだとただの、いやかなりの戦闘狂だからな。まだゲーム感覚が抜けきってないのをなんとかしてやらないと。


「拓磨、その槍はゲームのデータとかじゃなく本物、人も傷つけられるんだから気を付けろよ。」

「分かってるって。何のために柔道やら剣道やらを片っ端からやって来たと思ってるんだ。」

「飽き性だからだろ。」

このままだと話がヒートアップして拓磨が止まらなさそうだったので、強制的に話を切った。まぁ、自覚があるなら大丈夫か。


前の9刻の鐘が鳴り、兵士長が話を始めた。

「今日は班ごとに俺たち監督役兵士と模擬戦闘をしてもらう。戦闘時間は10分。今のお前たちの状態がどれ程のものか知りたい。」

クラスメイトがざわつく。まぁ、転移して1日、未だにどうしてこうなったかも分からない状況で戦闘するなんて言われても普段通りにハイとは言えないよな。


「模擬戦闘は1班から順に1班ずつやるから1,2班以外は場外に出ておけ。余波が来んとも限らんからな。」

兵士長が3班以降を場外へ出るように指示を出す。井口先生が頑張ってるな。こっちに来てから喋ってるところは始めてみたかもしれない。


1,2班以外の全員が場外に出たところで監督役数名と1班の4人が武闘場の中央へと歩いていく。


1班のメンバーは委員長で剣士の大久保大輝、戦士の瀬野(せの)寛次(かんじ)、弓使いの太田(おおた)比奈(ひな)、魔術師の才川(さいかわ)(かなで)の4人だ。4人共クラスではよく委員をやっていたりと中心的な人物だ。4人で話しているところもよく見る。

対する監督チームも4人組で剣士、戦士、槍使い、魔術師という構成だ。


「よろしくお願いします。」

「1班の実力を見せて貰おう。」

大久保と監督役が握手をする。両者が距離を開け、戦闘体制に入った。距離としては15mほど、近すぎず遠すぎずと言ったところだ。


「では、1班の模擬戦闘を開始する。…戦闘開始っ!」

兵士長の合図で戦闘が始まった。


─────


まず動いたのは大久保だった。全速力で相手の集団に突っ込んでいく。すぐに叩かれて終了かとも思ったが、相手の剣士の攻撃は大久保をとらえる前に半透明な障壁に阻まれた。


「無策の特効なら大幅減点だったが、よくも一瞬で使い方も教えていない結界(けっかい)を使う思考に至ったものだ。」

兵士長が唸る。それは大久保に対してではなく、才川に向いているようだ。


大久保の特効で陣形が少し乱れた監督チームだが、すぐに立て直し1班の近遠距離からの攻撃を捌いている。


途中で何度か結界を挟んだ攻撃を仕掛けてはいたが、1度使った手を食らうほど監督チームは甘くなかった。丁寧に攻撃を受け流し、結界が切れるタイミングや結界の僅かな隙間を見計らって反撃(カウンター)をいれてくる。


それでも大久保の攻撃のペースは早く、陣形を崩すまではいかなくとも、何度かダメージは与えられているようだ。中遠距離から結界、矢が襲い、近距離では剣と盾が纏わりつく。互角とはいかなくともいい勝負だ。


実力を見るためだからか監督チームは10分間防戦がメインで、1班はそれを破れず、結局そのまま戦闘は終わった。


「戦闘終了っ! まぁ、最初としては悪くなかったな。特に才川の結界は良かった。防戦メインとはいえ何の技術も与えていない君たちが最後まで立っていられるとは思わなかった。」

兵士長にコメントを貰い、1班は休憩のために場外へ降りていく。


俺はこの戦闘を見て改めてステータスの凄さを感じていた。ただの高校生が本気ではないとはいえ訓練を詰んだ兵士と戦える。


『──この世界にいる転移者、転生者と呼ばれる者は皆総じてステータスが高いのです。それは前の世界での技量、知識に関係なく。です。』


ステータスが高いなんて所詮、周りより頭半分抜けている程度だと思っていたが、認識を改めないとな。


「次は2班だな。」

兵士長がそう言い、俺たちを中央へ行くように促す。目があった。手を抜くなと。

出来るだけの事をやらないといけなさそうだ。この後でどんな目に合うか分かったものじゃないからな。


…そういえば、1班は結界以外は単調な物理攻撃だった。ステータスで思い出したが俺たちにはスキルがある。…使ってみるか。


「拓磨、鈴音、薫、ちょっと試してみたい事があるから合わせてくれない?」

「浩太なら言うと思ったぜ。」

「お前の中の俺は一体何者なんだよ。」

「出来るだけ、合わせる、ね」

「盾やればいいんでしょ?盾。」

「まぁ、そうだけどさ…。」


さて、出来るかは分からんが監督に一泡吹かせてやりますか。

誤字脱字等あれば報告していただけるとありがたいです。

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