3.班
展開考えてないのバレる(´・ω・`)
クラスの方針が固まったので、王女の指示により俺たちは10個の班に別れることになった。クラスメイトは全員で40人+教員1人なので5人班1つと4人班9つという事になる。なんでも4,5人のパーティがこの国での最小の隊らしく、規格に合わせるということらしい。
「よろしく頼むぞ、浩太。」
「お前と一緒なのは嬉しいが…なんでこれ男女混合なんだ…?」
「適正で分けられてるらしいわよ。」
「一緒なのが浩太君と拓磨君で良かった…かな。」
俺は第2班に振り分けられていた。メンバーは俺と拓磨、幼馴染の篠宮鈴音、それから鈴音の友達の紀伊薫の4人だ。
全員中学かそれ以前からの付き合いなので割と気の許せるメンバーだ。高校に入ってからはほとんど友人を作っていなかったので、クラスメイトの事は知っていても話すような仲では無かったのでラッキーと言わざるを得ない。
「皆はさっきあったステータスチェックでどんな職が良いって言われたんだ?俺は剣士って言われたんだが。」
俺は腰に下げた剣の柄に手を当てながらそう言う。
この班分けをされる前、クラスメイト全員はステータスチェックを受けていた。ステータスとスキルを見て班を振り分けるため、と言っていたのでアンバランスな編成にはなっていないと思うが、念のためだ。
まぁ、ステータスチェックと同時に国から最低限の装備が支給されているので見ればおおよその見当は付くが。
「俺は見ての通り、槍使いだな。」
拓磨が背中に差した槍を指差す。身長180cmの拓磨がよりも長い、2,5m程の槍だ。この長い槍をふらつかずに背負っているのは武道の心得があるからなのかそれともステータスが影響しているのか。心強い中距離攻撃だ。
「私は戦士らしいわ。全く、女子に何を持たせるのかしらね。」
次に言ったのは薫だ。腰には俺と同じように剣を差してはいるが、大きな違いはその背中にある大きな盾だ。薫は身長163cm程で女子の中では背が高い方だが、その盾は薫の背中をすっぽりと覆っていた。しかも金属製らしく王国の兵士が持ってくる時かなり引きずっていたので相当な重さがあると思うのだが。
…何で薫は平然と持ってるんだよ。黒の長髪とキリッとした顔つきが合間って歴戦の女性戦士に見えなくもない。
「私は魔術師…だそうです。」
最後に言ったのは鈴音だ。鈴音は手に木製の杖を持ち、背中に刃渡り30cmほどのナイフを差している。杖は分かるが、何故ナイフ?と思い聞いてみると、どうやら護身用らしい。
幼馴染なので鈴音の性格はよく知っているが、彼女は気が強い方ではない。だから前線で戦わず、主に後方に待機する魔術師が当たってかなりホッとしているようだ。
まとめると近距離の剣士と戦士、中距離の槍使い、遠距離の魔術師となかなか、というかかなりバランスがいい。他の班を見ると近距離1人に中距離3人なんて班もあるので良いところに当たったようだ。
とりあえず、職の確認は終わったので、あとはリーダーを決めないといけないのだが…
「え?浩太じゃねぇの?」
「浩太君…が、いい。かな。」
「あんた以外に誰がやるのよ。」
と口を揃えて言われた。…図ったな!
今日はリーダーまで決まれば報告して、部屋に案内して貰い、そこで自由行動にしていいらしい。
「はい、早く行ってきてよ、リーダー?」
薫が怖い。お願いだからその盾背負いながら近づいて来ないで。圧力が凄いから。
結局3人にゴリ押され、リーダーの報告をしに兵士長のところに向かう。
兵士長は50歳ほどの男性で、白髪混ざりの銀髪に頬と右の目元に大きめの傷がある。見るからに歴戦の兵士という感じだ。技術もなにもない俺たちの指南を担当してくれるらしい。
「2班リーダー、佐藤浩太です。」
「もう決まったか。流石に1,2班は早いな。」
「やっぱりこれって実力順、というか高ステータス順なんですね。」
「まぁな。特に隠すことでもない。1,2,3班はその40人の中でも見込みの高い者を集めている。頑張ってくれよ。」
そういっている兵士長だが、その目きは期待以外の何かが映っている様だった。どちらかと言えば期待とは反対の何か。
まぁ、俺たちは異世界からの転移者でなんの技術も持ち合わせていないただの子供だ。もちろん期待どころか嫌悪する人も多いだろう。
「ん?どうかしたか?」
「…あっ、いえ。大丈夫です。」
少し考えすぎていた様だ。心配そうな顔で覗き込まれている。
「そうか、何か質問があれば各班に付けている監督役に聞いてくれ。」
「わかりました。では失礼します。」
報告が終わりメンバーの元に戻ると金髪の25歳程の若い男性が班のメンバーと一緒にいた。
「第2班の監督役になりました、ザレアと言います。これからよろしくお願いします。」
「佐藤浩太と言います。よろしくお願いします。」
「ではお部屋に案内しますので、こちらへどうぞ。」
とりあえず今日やることは終わった。町に出ても良いらしいので後で出てみようかと思い、一先ず部屋に向かうのだった。
近日中にルビ修正します。
度々の修正申し訳ありません。
10/15 ルビ打ち修正、一部文章の修正をしました。
10/17 一部文章の修正及び追加をしました。