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27.選定戦5

魔族には銀や白の髪が多いです…

「コータ、起きるのじゃ。」

「ん…?何かあったか?」

「セレンが動いた、ザッカレアも出ざるを得んじゃろう。」

クロナが俺を起こした時間は2日目の深夜、0刻を回ったかと言った所だ。魔法でセレンを見ると超速で北西部の洞窟へと向かっている。ザッカレアの方はまだ洞窟から出る気配は無い。


セレンが洞窟まで100mほどに迫りセレンが攻撃体勢に入る。

「ザッカレアは気付いてないのか?」

「そんな訳は無いじゃろ。あれだけの偵察魔法があってトラップが無い訳がないじゃろう。」

クロナがそう言ったと同時に後方から3本の剣がセレンを襲う。投げナイフや短刀と言った類いの剣での投擲らしいが、ザッカレアが動いている様子ではない。完全な不意打ちだが、セレンは難なく全ての剣を弾き、その場に止まる。


『へぇ、未来予知…。面白い能力ね。』

『どうも、引きこもりさん。』

『ネロでいいわ。』

ようやくザッカレアの代表、ネロが姿を現した。三つ編みにした長い白髪に、全身を銀色の鎧で固めた少女だ。両手には同じく銀色の剣を握っている。だが、選定戦開始時には物々しい鎧も剣も着けていなかったハズだ。


『ファーレンは両方落ちちゃって、コータが先に来るかと思ったけど、貴女が先なのね。』

『引きこもりさんには私で十分ですよ。』

この声を境に会話が全く聞こえなくなる。多少なら音声も拾える俺の偵察魔法だが、声よりも響く音、金属音や爆発音が混ざれば声は拾いきれなくなるからだ。


攻撃を仕掛けたのはセレンだ。瞬間移動を使いネロの背後を取る。だが、ネロが指を鳴らす素振りを見せると、セレンが瞬間移動した地点の足元から何本もの剣が出現しセレンに襲いかかる。

それからはこの繰り返しだった。始めはすぐに剣が尽きると思っていたネロの攻撃だが、半刻ほど過ぎた今でも尽きる気配を見せない。その上、ネロは最初の位置からほとんど移動式しておらず、体力の消耗も少ない。対してセレンは半刻以上未来予知と念話を、ティアは瞬間移動を使い続けている上、常に動き続けているので精神力、体力どちらも限界に近いようだ。


「…投影の魔法じゃな。しかも実体を持つ投影じゃ。魔力消費も大きいハズじゃがあれは底なしじゃのぉ。」

「このままだとセレンが落ちるか。」

「今から行く気か?」

「いいや、予定通り朝一番だ。」

時刻は深夜0刻半過ぎ、夜明けまでは6刻はある。


それからすぐにセレンがリタイアし、ネロとセレンの戦いは終了した。ネロは残ったが相当魔力を消費しているハズだ。洞窟から動く気配が無いのもその影響だろう。だが選定戦の会場となっている力場の祭壇には巨大な魔力溜まりがある。普段よりも魔力の回復は早いハズだ。朝方には普通ぐらいに回復しているだろう。


「今討ちにいけば楽じゃろうに。」

クロナがそう呟く。時刻は1刻すぎ、ネロが洞窟に潜り直して全く動かなくなった直後だ。

確かに今なら魔力も消費しているし、討ち易くはあるだろう。だが、それはしない。


「選定戦はあくまでも魔王を選ぶ戦いだ。あくまでも選ぶのであって、勝者がなる訳じゃない。つまりはそういう事だ。」

ゴルドもセクレタもセレンも正面から堂々と戦った上で負けを認めて選定戦から落ちた。選定戦で魔王に選ばれる条件は恐らく己の格を見せること、正面からぶつかった上で相手に負けを認めさせることだ。でなければ実力を持つ将が王を狙って闇討ちなんかをやりかねない。


「とりあえず俺たちも寝るか。1vs1だ。不意打ちされることも無いさ。」

そう言って俺はもう一度眠りにつく。俺も魔力を万全にさせておかないとな。


翌朝、時刻は6刻といった所だろうか。俺はこの世界では始めて聞く警報音で目を覚ます。俺が音系統の魔法と探知系統の魔法を組み合わせて設置した警報トラップだ。


「攻めようと思ってたがそっちから来たか。」

「考えることは同じじゃの。」

「ああ、攻め側なら戦闘の主導権を握れると踏んだか。」

実際お互いの能力はお互いにわからないままであり、先に攻撃を仕掛けた攻め側が主導権を握れる。その手段として相手陣地に乗り込む奇襲や不意打ちがあるわけだが、バレた段階でこちらが主導権を握れる。


「攻める前に薔薇園は取っ払うつもりだったがまだで助かったな。"クリムゾン"!」

まだ姿は見えないが、トラップで捕捉した位置に熱線を打ち込む。当たった感触はあった。だが、ネロは無傷で森から出てきて攻撃のモーションすら見せずに俺と30mほどの地点で止まる。ここで攻撃に出るメリットが少ないと判断したんだろう。


「私はネロ。貴方が最後の候補者ね、コータ。」

「自己紹介ぐらいさせろっての。ネロ・ザッカレア。」

「私が知ってるからって自己紹介しない、なんて決まってる訳じゃないでしょ?サトウコウタさん?」

「よく調べてるな。」

「もちろん、候補者はしっかり調べておかないとね。異世界の勇者様なんかは特に、ね。」

ネロが軽く微笑む。だが目は真剣そのものだ。どうやらセレンと戦った分の魔力もほとんど回復しているらしい。


「選定戦最終ラウンドだ。即終了は止めてくれよ?」

「それはこっちの台詞よ。」

セレン「私もだけど、銀や白が多い訳は?」

作者「黙秘権を行使します。」

セレン「駄目です。」

作者「ああぁぁぁぁぁぁ!!!」

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