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24.選定戦2

クリスマスが今年もやってくる。

うっ…。

選定戦開始からおよそ1刻が過ぎ、ゴルドの一撃の土煙が引いてきた頃、俺は選定戦の戦闘範囲の最南端まで来ていた。


「ここが端か。思っていた通り結界が張ってあるらしいな。」

「半球状の結界じゃな。」

クロナは北の空を見ながらそう言う。クロナと同じ方を見れば確かに半球状に半透明な結界が張ってある。クロナが言うには魔法が外に漏れない様にするのと、候補者5人が勝手に退場できない様にするだけの結界だそうだ。ただし、その強度が異常らしいが。まぁ、候補と言ってもほとんど魔王と同格なのが5人も戦うのだ。異常なぐらいがちょうどいい。


「それよりも、だ。さっきから鬱陶しいのがちょろちょろしてるな…"ディスパージョン"。」

開始直後から谷から出た時と同じ嫌なものだ。さっきから色々な魔法で散らしてみてはいるが、一向に減る気配がない。


「まぁ、十中八九ザッカレアの娘じゃろうな。魔力擬装がまだまだなっておらぬ、バレバレじゃの。」

クロナは何故か魔力、魔法に敏感で魔力の質、量を見極めるのはもちろん、魔法の解析までやってのけている。それのお陰でこの偵察魔法が空気を圧縮し、それに魔力を流したある種の魔法生物だと判明した。だからこそ散らしている訳だが、空気がボディなのでいくらでも湧く上、ザッカレアの候補の魔力が空気に流れて点在している為、位置の特定も出来ていない。


「まぁ、とりあえずはザッカレアの娘は放置じゃの。偵察しておるのじゃ、そう早く動くこともなかろう。」

「あぁ、範囲の確認もしたことだし、とっとと領域の中心を決めるか。」

ザッカレアが静観するなら、それ以外の候補者に位置がバレていない内に俺の領域を作るのが先決だ。領域さえ完成すれば確実に勝てるという訳では無いが、少なからず優位には立てる。


現在の時刻は10刻半。俺はさっきの地点から東に進んだ森の南東部に岩の剥き出した壁と言えばいいのだろうか。そういったものがある少し開けた場所に出た。祭壇と結界のちょうど間ぐらいの場所であり、陣地を敷くには悪くない。


「ここらへんでいいか。これ以上移動しても時間が惜しいしな。」

「後ろには崖、周りは全て森。その中でここだけは開けておる。普通に考えれば良くは無いがまぁ、ソレを活かすには良いじゃろうな。」

「ならここで決定だな。とりあえずは開けた場所全体に広げるか。"薔薇園(ローズガーデン)"」


俺はその場に座り、地面に魔力を流しながら魔法を発動し続ける。薔薇園は俺が範囲内に居れば放置していても広がっていくが魔力を流せばその速度が上がる。直径50mほどの広場だ。何も邪魔が無ければ半刻もしない内に終わるだろう。


だが、そう上手くいかないのが戦いと言うものであり、今回は実力がほぼ互角の相手だ。当然邪魔が無いわけがない。


偵察を放っているのは何もザッカレアだけではない。もちろん俺も放っているし、セレンとゴルドが偵察を放っているのは確認済みだ。


魔法を発動してから数分後、こちらに移動してくる魔力の塊がある。魔力量的に候補者だろう。

「チッ、思ったより早いな。」

「コータ、魔法だけの妨害だけならまだしも候補者をワシだけで止めるのは無理じゃ。」

「あぁ。とりあえず領域は放置だ。」

俺とクロナは直径にして10mほどの領域内に入り、来襲者を待ち構える。広さこそ心許ないが、性能は変わらないからな。


「ふん、何もしないのであれば暫く放置で良いと思っていたが、領域魔法なんぞ構築されては手の付けようも無くなるのでな。全く、クアレアは油断ならんのばかりだな。」

森の中から現れたのはゴルドだ。俺の薔薇園の領域の本質は『根』だ。高威力の物理攻撃で地面を集中攻撃されれば吹き飛ばされる可能性だってある。その点ゴルドとは相性が悪いか。


「口上の時間はいるか?」

「儀礼なんぞ必要ないさ。さて、何時でもいいぜ?」

どうやらセクレタから俺の魔法の事は教わっていないらしい。まぁ、選定戦ではライバルになるのだから潰されても構わないんだろう。


「じゃあまぁ、遠慮なく。」

俺は少し笑いながら剣を抜く。さぁ、選定戦最初の戦いだ。

作者「ゴルドの扱いやすさ随一」

セクレタ「それな」

ゴルド「はぁ!?」

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