第3話 謎の声
「ん……、ここ、は、??………!!ここどこ!!」
「うるさい!! まだあずさちゃんが寝てるから静かにして!!!!」
目が覚めて、あたりを見回してから、まったく見覚えがない場所だと気づき大声をあげてしまった俺は、俺と同じかさらに大きい声によって怒られた。
……っていうか、今の声の方が絶対うるさいと思うんだけど。
とりあえず、大声で俺を怒鳴ってきた人物の方を向く。
そこにいたのは、風島夏葉という人物だった。
夏葉は、前にも言ったクラスの最上位のグループのメンバーの一人だ。髪型は肩まで伸ばした髪を後ろに纏めて、短めのポニーテールにしており、顔は若干童顔でかわいい。
その性格は、とにかく明るく元気で、また所属する陸上部では都の大会で上位に入る程、運動神経もいい。
が、勉強に関しては結構スレスレをいっている。
「ん……。な、に、今の大きな声は……?」
そんな声がして、そちらの方を向くと海音寺あずさが上体を起こすところだった。
てゆうか、やっぱり起きちゃったか。夏葉の方を向くと若干ばつが悪そうにして、話しかけづらそうだった。
……はあ~、一応、大声を出す原因を作ったのは俺だからフォローするか、メンドイけど
「海音寺さん、大丈夫?どこか痛いところない?」
「……森下君? それに、風鳥さんも?……とゆうか、ここは一体……?」
それは、最初に俺も気になったことだ。
今、俺たちがいるのはバスの車内ではない。とゆうか、俺たち以外のものがない。見渡す限り広い広い真っ白な空間が広がるばかりである。
現在俺たちから見える範囲にいるのは、俺森下竜樹、海音寺あずさ、風鳥夏葉、この三人だけのようだ。
「俺も、ついさっき目が覚めたから、ここがどこだか分からないんだ。風鳥さんは、おれより前に起きていたようだけど、何か知ってる?」
「いや、まったくといってわかんないわ。だって、私が起きたのだって森下君のちょっと前ってだけだし」
予想はしてたけど、風鳥さんも分かんないか……。
…………………………………………………少しの間、沈黙が流れる。
「とりあえず、二人は気を失う前までで何か覚えてることはある?ちなみに、私は、次の予定を確認するためにしおりを見ていた記憶が最後」
しばらくすると、海音寺さんが沈黙を破ってこう切り出した。
「私は、皆とバカ話に夢中になってたところまでかな。雨音が大きくてしっかりと聞かないと聞き逃しちゃうから、集中してたのもあって…。そこまでの記憶しかないや」
「俺は……。そうだ、なにか大きな音がしたと思って上を見たらバスの天井部分がどんどん下がってるのが見えて、そこから先の記憶がない」
「天井が下がって……? …………まさか、バスの上に何か降ってきてそのまま私たちは潰された……?」
海音寺さんがそんな不穏なことを言い出した。
「ちょっと待って!! それじゃあ、私たちその何かに潰されて死んじゃったていうの!?」
風鳥さんがその言葉に動揺して、海音寺さんに食って掛かった。
それは、分かる。天井が下がってくるのを見た記憶が俺にはある。だが信じられない、信じたくない。
「ちょっと、風鳥さん、落ち着いて!? まだ、そうと決まったわけじゃ……」
「それについての説明は私がしましょう」
突如として、そんな声が響き渡った。
長くなってしまったので一旦ここで区切ります。
一応ここで出てきた三人をメインで、他のクラスメイト達はサイドストーリーにする予定です。