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目覚める黄金の力

「お主が神じゃったか……」


 玉乃は俺の創り出したその黄金の輝きを持つモノを見てポツリとそう言った。まさかこんな力が俺の中に眠っていたなんで夢にも思わなかった。玉乃が目を話すことの出来ないソレは、ちゃぶ台の上で圧倒的な存在感を醸し出していた。その神々しさに、玉乃の顔から水滴が伝い、ポタリとちゃぶ台に落ちる。

 その光景を見て俺はあまりの驚愕体を震わせ、天を仰ぎ見る。


「どうして、こんな事が……」


 本当にどうしてこうなったのか、わからない。ただ俺はどうして、なんで……と繰り返すことしか出来ないのだった。


 何故こうなってしまったのか……それを知るには少し時間を遡らねばなるまい。
















「うぅむ、使えるか使えないかと言われれば……恐らく、使える。」


「おぉマジか、言ってみるもんだな。」


 玉乃が使った術とやらを俺にも使えないか訪ねてみたところ使えるかもしれないと返答をもらった。よっしゃ!と内心ガッツポーズを取り、華麗に術を操る自身を夢想する。これから俺の冒険が始まるぜ!なんて未来の自分を想像していると


「今までこの世界に落ちてきた異世界人は皆須く強大な力を持っていた。それは霊力や魔力、と言ったものもあるがそれ以外にもそれぞれ何かしらの特異な力を持っていたのじゃ。」


 おぉ、これはまさか俗にいうチートとか言う奴なのか?まさか、俺にもそのチートが眠っているというのか。


「お主のいた世界は上位世界と言ったじゃろう?推論なのじゃが、世界そのものが力を持っており、それが人々に圧をかけていた。その圧が原因でお主の世界の住人は先ほど見せた呪い(まじない)や霊術、超能力等が使えなくなっていたのじゃろう。しかし、この下位世界に落ちてきたことによりその圧力から解き放たれ、圧力に耐えていた力がそう言った特異な力の源じゃと妾は思っておる。」


 なるほどなるほど?要は月は地球より重力が少ないから地球より高く飛べる、みたいな感じなのか?

 玉乃の説明を自分なりに噛み砕いていく。玉乃の説明通りならば元いた世界で抑えラていた俺のパゥワァがこの世界では枷を解き放たれた獣のように暴れ・・・暴れちゃダメだよな。枷を解き放たれた子犬、程度にしておこう。


「確か以前落ちてきた異世界人はなんじゃったか……ル、ル……ルー何とかといったか……」


 ル◯大柴……か?なんだ、この世界に阿吽のブレスとか苦しい時のゴッド頼みとかよくわからん言葉を伝えたりしたのだろうか。


「まぁ其奴は空を飛ぶカラクリを召喚する特異な能力を持っていてな。それがまた物凄くてのぅ、それから飛ばされる小さい鉄の塊は化生共をボロ布のようにするほどの威力を持っておったわ。ものすごい速さで飛んで化生の群れを蹂躙したりして……今でも思い出すと怖気がする、あの飛ばされた鉄の塊にあたった化生はそれこそ挽肉よりひどい状態になっておったからのぅ。」


「……あの、その人牛乳飲んで出撃だ!って感じで四六時中化生倒しに行ってたりしませんでしたかね?」


「おぉ、そうじゃそうじゃ。怪我してても化生退治に行こうとするから皆困ってた記憶があるのぅ……なぜお主が知っておるのじゃ?」


 まさかのルー◯ルかよ!何やってんの!?あの人この世界に何持ち込んじゃってるの!?

 驚きの事実を知らされ愕然とする。まさか元の世界でさえチートと言われた撃墜王がこの世界でチートを手にしてまでやることが元の世界でやっていたことと同じことだったとは……あまりにも衝撃的すぎる。


「まぁ、そういうわけでじゃな……お主にも何か特異な力があると妾は思っておる。霊術や呪いは相性的なものもあるが、その特異な力が有るならそう言った力の源はあるということ、最低限簡単なものくらいなら使えるようにはなるはずじゃ。」


「そ、そうか……それで、その特異な力ってのはどうやったら使えるようになるんだ?滝に打たれたりして修行するのか?」


 未だ収まらぬ動揺をなんとか抑えこみ、尋ねる。特異な力が有ると言われて舞い上がってしまったが、俺にはその力というものがピンと来ない。そもそも今までそんな力とは縁がなかったのだ、眠っているかもしれないとはいえそれを起こす方法もわからない。


「では、試しにやってみるとしようか。お主は初めてじゃろうから最初は妾が手伝おう。どれ、右手でも左手でもどちらでも良いから出してみよ。」


 言われるがままに右手を差し出す。すると玉乃は俺の右手を両手で包み込んだ。

 うわ、手小さいな。それにスベスベして柔らかい……美少女に手を握られ体温が上がる。多分顔も少し赤くなっていることだろう。それを気取られないように少し顔を背けて尋ねる。


「で、これからどうするんだ?」


「これから妾が力を流し込む。その流れを感じ、同じように体を巡る力を見つけるのじゃ。」


 そう言った途端、握られた手から暖かな何かが流れ込んできたのを感じた。


「ん……なんだ、暖かい何かが……これがその力なのか?」


「ふむ、もう感じおったか。才は上々と言ったところか。今感じた力同じような力がお主の体を巡っているはずじゃ。そして巡っている力はお主の体の何処かが源泉となりそこから体中に流れだし、また戻ってくる。その源泉となる場所を意識せよ。」


 そう言って玉乃は掴んでいた手を話した。少し残念な気がしたが、言われた通りに自分の中の力の中心、源泉と呼ばれた場所を探すために目を瞑る。

 そうして5分程経っただろうか……


「なんとなく……いや、意識しだしたらハッキリとわかった。ちょうど心臓の部分、そこがきっと俺の力の源泉だ。」


 なんだこれ、流れる力の源泉を意識した途端に巡る力が強さを増した気がした。

 心臓が血液を全身に巡らせるように、俺の中を流れる力も心臓部分にある何かから全身を巡り、また心臓部分へと戻ってきていた。そう伝えると


「そう、それが源泉じゃ。源泉の場所は人それぞれじゃが人の場合は心臓部分が多いと聞くのぅ。妾の場合はこの尻尾じゃな。」


 そう言って尻尾を振る玉乃。降る度にフサフサとした毛も揺れる。

 うおお、モフりてぇぇぇ!そんな衝動に囚われそうになるが、それと同時に流れる力も更に強さをました。


「う、おお……なんだこれ、なんか力がどんどん、強く……」


「どうやらお主の特異なる力がこの世に生まれようとしているようじゃな。そのまま、源泉に意識を集中し、溢れそうになった瞬間に、そうじゃな右手から放出するように力を誘導するのじゃ。」


 心臓部分に意識を集中させる。心臓部分から全身へ、そしてまた心臓部分へ。力が体を巡り、戻ってくる度に力が強くなっていくのを感じる。それを繰り返したところで限界を感じた。これを……右手から、放出……!


「うお、おおおおお、おおおおおおおおおお!」


「おおおおおおお!?」


 その瞬間、右手から眩い黄金色の光が溢れ出る。それと同時に体を巡る力が右手からどんどん出て行く感覚があった。自分の力だからか、その力によって何かが創りだされていっていると言う感覚だけはわかった。

 あまりの光に目を覆い隠すように左手を眼前に持ってくる。10秒だろうか、20秒だろうか……ようやく光がおさまってきたようだ。

 玉乃も目を背けていたようで、ほぼ同時に創りだされた物を目に入れることになったようだ。まだ少し黄金の光を纏っているようで輝いて見えるソレは……


「……俺のバイト先俵寿司の人気商品、5個入600円の稲荷寿司……。」


「お主が神じゃったか……」


 いや、神はお前だろ・・・とそんなツッコミも言葉にならず目の前にある稲荷寿司を凝視する。ふと玉乃の方を見ると口からヨダレが垂れ、顎を伝いちゃぶ台に落ちていた。





本当に!どうしてこうなった!!





ついに判明した主人公のチート()

果たしてこの力をどう利用していくのだろうか。


それにしても新しい登場人物がなかなか出せない。



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