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異世界と共通点

 異世界から飛ばされてきた、と聞いた時驚きよりもやはり、と言った感覚が強かった。ある程度は予想出来ていたことだ。


「ある程度予想していた、と言う表情じゃな。まぁ、それでも聞きたい事はあるじゃろうがまず続きを聞いて貰うとしよう。先ほど妾は異世界から飛ばされてきたと言ったが、実は少々異なる。」


「ん?飛ばされてきたのではない、って事か?」


「うむ。正確には落ちてきたと表現したほうが正しいか。飛ばされてきたのではなく、お主はお主が居た世界からこの世界へ落ちてきたのじゃよ。稀にじゃが他の世界からの稀人がやってきたという例は妾が知るだけでも両の手の指では足らぬほどある。それぞれの時間の幅はそれこそ2日連続で発生したこともあれば100年単位で起こらないこともあるが、のぅ。」


 そうか、玉乃がすぐに俺の事でわかったことがあると言ったのは以前にも同じような事があったからか。


「なんで飛ばされたとかじゃなくて落ちてきた、なんだ?」


 そう、異世界に来たのなら別に飛ばされたでも良いはずだ。それなのに何故落ちてきたと言い直したんだろうか。


「そうじゃな、それを説明する前に聞きたいのじゃが、お主は神社を知っていたな?だとすればお主がいた世界と妾がいる世界は似通っている筈じゃ。文化、技術、時代・・・それに差はあれど何かしらの共通点があるのではないか?」


「あ、あぁ。そうだな、俺のところには神様を祀った神社があるし、仏を祀ってる仏閣もある。それに、倭国って言ったか、あれは俺が住んでた国のかなり昔の呼び名だったはずだ。」


「じゃろうな。そして、お主の服を見ればわかるがかなり技術が進んでいるのではないか?その着ている服を見ただけでもかなりの服飾技術があるということがわかる。」


「うーん、俺はこの世界の事がわかってないからこっちの世界と比べて俺の世界の技術が進んでるかどうかははっきりとわからないけど……そうだな、この世界には家電製品、電気で動く機械ってのはあるか?」


「電気で動くキカイ?あぁ、からくりとか言うヤツかの?それなら此処にはないが、街のほうに少しはあるはずじゃが。」


 どうやら家電製品のようなものはないらしい。だとするならば世界間の技術差は結構な差があるんだろう。


「俺の世界には例えば……そう、物を冷やしておく冷蔵庫ってのがあってな。電気でそれを動かしていればいつでもずっと物を冷やしておけるんだ。氷とかも作ることが出来る。他には電話って行って遠くにいても会話ができるようなものもあるな。」


「ほう、それは便利そうじゃな。妾達も術や念話でそれの代用はできるが、誰でも使えるという訳ではないからのう、話から察するにその機械とやらは電気があれば誰でも使えるのじゃろう?」


 いや、機械以外のもので代用出来る方がスゲェよ。


「お、おう。俺の住んでたところでは人が住んでるところならだいたい電気を運ぶ電線っていうのが整備されててさ、それと機械さえあれば子供でも使えるよ。逆にそれを使わずに同じようなことが出来るって事が俺には驚きだ。」


「ふむ、やはりお主たちの世界はこう言う術……神術、呪術、妖術、魔術・・・色々種類はあるが、そう言った類や、昨晩見た鬼等は存在せぬのか?」


 そう言って玉乃は手のひらから火の玉を出現させた。

 改めて見ても凄いな、トリックとかそんなん欠片も見当たらねえもんな。


「そう言った術があることは知っている。でもそれは空想上のもので、少なくとも俺や俺の周りに居た奴は使える奴は居なかった。昔は陰陽師や魔女、妖怪なんかが居たって本とかには載ってたから、もしかしたら昔は居たのかもしれないけど。」


「やはりのぅ……今までの会話を踏まえ、改めて説明しよう。何故落ちてきたと言い直したかじゃが、それはお主のいた世界がこの世界の上位世界と言える場所だからじゃな。」


 上位世界?俺の世界のほうがこの世界より格が上って事か?


「それはおかしくないか?俺の世界には手から火を出すみたいな魔法のような事ができるやつなんで居なかった。だったらこの世界のほうが上位世界に当たるんじゃないか?」


「いや、お主の世界が上位世界で間違っておらぬ。推測になるが、お主の世界の人々はこのような力がなくても生きていけるように、技術を進めていったのじゃろう。世界の力で、神や妖、神秘などを圧し潰し、代わりとなる技術を発達させていったのじゃろうな。」


 ん、んー?わかったようなわからないような……スッキリしないな。

 しかし、反論できるほど知識があるわけでもないので黙っていることにした。


「くふふ、よくわからんと言うような顔じゃな。安心せい、実は妾にもよくわかっておらぬ。尤もらしい事を言ったがな、おそらくそうであろう、と言うただの推論じゃ。ただ、お主の世界が上位世界だというのはこの身が神であるからか、ハッキリとはわからぬが漠然と理解しているのじゃよ。」


「そんなものなのか……よくわからんが、そう言ったものだと割りきるしか無いか。」


「そうそう、その程度で良い。難しく考えるだけ損と言うものじゃ。続きじゃが、落ちてくる理由はわからん。この世界にいるどの神に聞いても分かる者はおらんじゃろう。そうじゃな、災害にあったと思うしかなかろうて。」


「確かに災害だわな……下手したら死ぬってことも同じだ。」


 異世界に落ちる災害に当たるなんて、俺ってそんなに運が悪かったっけ?と自問自答する。


「ゴホン、まぁそれは置いておいて、この世界とお主がいた世界、違う世界なのになぜ共通点が多いかというとなんじゃがな……どう言ったものか、そうじゃなぁ……」


「並行世界、みたいなもんなのか?」


 ぱっと思いついた事を言葉にする。パラレルワールドとか一時期流行ったよな、なんて事を思う。


「ふむ、言い得て妙じゃな。そう、この世界とお主の世界は並び立っているのじゃよ。それもスタート地点がかなり近い所で……しかし、同じではない。近いところから始まったのであり同じ場所から始まったわけではないのじゃ。お主の世界が始まり、可能性の数だけ分岐していった世界の一つ、と言うわけではない。お主の世界が始まった点からほぼまっすぐ下に降りた場所にある点、それから始まった、全く別の世界。お主の世界が枝分かれしながら進んでいるその下で同じように枝分かれしながら並んで進んでいる世界、それがこの世界なのじゃよ。」


「始まる点が高さだけ違う場所にあった・・・だからこの世界と元の世界は共通点が多く存在するってことなのか?」


 難しい話をなんとか整理しながら俺なりの推論を出す。やばい、知恵熱がでそうだ。こんなに頭を働かせたのはいつ以来だろうか、期末テストでもこんなに頭を使った記憶はないぞ。


「かいつまんで言うとその通りじゃな。高さが違う故に決して交わらない世界、だが何の因果か稀に世界を繋ぐように穴が空く。延々と枝分かれし続けていく2つの世界同士が、始まりの点と同じよう高さだけが違う場所を通った際に極めて低い確率で穴が空き、ちょうどその穴の場所にいたお主はこの世界へと落ちてきたのじゃ。」


 なんてこった、その話が本当ならきっと、多分……あの時見つけた見慣れない神社こそが開いた穴だっんだろう。好奇心に釣られ神社に入ったばかりにこの世界へと落ちてしまったのだ。

 おそらく……あの時神社に入らなければ、それこそ数分後にはあの神社を見つけることは二度と出来なかったに違いない。


「あの、さ……元の世界に戻る方法って、あるんだろうか……?」


 この世界に落ちてきた人は最低でも10人以上はいるらしい、皆が皆とは言わないが元の世界へ戻る方法を探った人もいるだろう。もしかしたら、元の世界に戻った人もいるのかもしれない、その方法がわかれば……


「すまぬが、元の世界へ帰る方法は妾にはわからぬ。妾の知っているこの世界に来た者達もほとんどが元の世界に戻る術を探っていたが……皆、この世界に骨を埋めていった。」


 申し訳無さそうに言う玉乃の言葉は、無情にも俺の心を突き刺すのだった……。




まだまだ続くよ説明回。

早く新しい登場人物を出したいです。


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