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命の危機は突然に

 ドゴン!


 俺の足元で、地面を揺るがす大きな音が響く。

 体に伝わる振動が、それが夢でも幻でもない事をハッキリと伝えてくる。


 「あ、うぁ……ぁ。」


 眼前、足元にあるのは鉄の塊、混乱した頭ではそうとしか言い表せない様な大きな金棒だった。

 地面が陥没している事と先ほどの音と衝撃から、ソレが腕や足に当たれば、まるでパンをちぎるような容易さで千切れ飛び、頭に当たればトマトを潰す様な感覚ではじけ飛ぶであろうと簡単に想像できる。

 それほどの質量を持ったソレを叩きつけられ声を上げようとしたが、恐怖からマトモに声を出すことが出来なかった。


 足から力が抜け、尻餅をついてしまった。

 見上げてみれば月を背にする大きな体躯が目に入る。

 2mはゆうに超えてるであろう背丈に、その腕周りは俺の胴位あるのではないかと思えるほどの太さを持っている。

 それに比例するように体全体は筋肉で覆われており、とてつもないほどの力を秘めているように思える。

 しかし、それらを持ってしてもなお、俺の目を引き付け離さないモノがあった。




 それは額から生える、天を貫くかのような一本角。




 自分の知っている人類に、決して存在する事のないソレから目を話すことが出来ないままなんでこんな事になってしまったのかと、現実逃避をする様に俺は記憶を巡らせるのであった。



















 「はぁー、今日もお勤め終了!」


 そう自分に言い聞かせるように言葉を発し、手提げ袋を手に帰路につくバイト帰りのどこにでも居るような、高校2年生。

 それが俺、渡辺孝俊だ。

 容姿はまぁ普通、であると願いたい。日本人らしく黒髪黒眼で、身長は平均よりやや高めと言ったところ。

 実は古武術を修めていたり、天才的な頭脳を持っていたり……なんてことは一切無く

 少しだけオタク的な趣味を持っているただの一般人である。


 「へへっ、あの寿司屋は握り寿司は普通なんだけど稲荷寿司だけは本当に美味いから今日はツいてるな。」


 褒めているのか貶しているのか、よくわからない事を言いつつ上機嫌に歩く。

 いつもの道……であったはずだ。


 「ん……あれ、こんなところに神社なんてあったっけ……」

 

 やけに立派な朱色の鳥居が目に入った。

 ほぼ毎日この道を通っているはずなのに、ここに神社があったなんて全く記憶に無い。


 「新しく出来た、ってわけでもないよな。この鳥居、結構年季入ってるし。」


 不思議に思いながら鳥居を眺めていると、少しばかり好奇心が湧き上がってきた。

 いつも通っているはずの道に突然現れた神社、若干の戸惑いもあるが怖いもの見たさが先に立つ。

 幸いまだ日は落ちていないし、人通りもある。何か起こることもないだろうと鳥居を潜る。


 「狐の石像?稲荷神社ってやつか?」


 鳥居を潜って少し歩くと道を挟むように2つの石でできた狐の像が目に入る。

 稲荷神社のご利益ってなんだったかな……と考えながらその像の間の道を通った。


 瞬間、景色が切り替わった。


 「…………は?」


 目の前に見えていた綺麗な社は、長年放置されていた様にボロボロになっていた。

 整備されていた石畳はひび割れ、隙間から雑草がそこかしこに生えている。

 極めつけに、先程までは夕暮れとまではいかない程に明るかった日が……落ちていた。

 頭上にあるのは太陽ではなく月で、それはさっきまでは影も形も見えていなかったモノだ。


 「え?は?何、何なの……時間が飛んだ?いやいや、仮に何かが原因で気を失って時間が過ぎて夜になったと過程してもこれはおかしい。」


 だってさっきまで社とか道とか綺麗だったじゃん・・・内心で思う。

 盛大に混乱している頭でなんとか考えついたのは、今来た道を戻ってみる事。

 早速Uターンして数歩歩く。しかし景色は変わらず夜のまま。

 歩いて、歩いて、とうとう鳥居まで戻ってきたが何も変わらない。いや、一点変わっているところがあった。


 「何がどうなってんだよ。夜になってることもおかしいし、周りがえらくボロボロになってるのもおかしい。さらに鳥居の外……森じゃん。なんだよ都会とはいえないけど住宅街だったはずだろ、なんで森なんだよ。」


 そう、森だ。

 月が出ているとはいえ、生い茂る木々の葉により光が遮られているためあまり光の差さない暗い森。

 それが眼前に広がっていた。


 「えぇー……時間が飛んだんじゃなくて場所も飛んだの?神社ごと?

  それとも時間が飛んだってのはタイムスリップ的な意味で飛んじゃったの?」


 何が何だか分からない。

 そうとしか言えないくらいに混乱している。

 夢・・・ではないだろう。森が近くにあるからであろう自然の香りも、肌を撫でる風の感触も

 虫達の鳴き声もものすごく現実的に感じられる。

 夢であるはずがない、だが夢であって欲しい。そうした葛藤を心の中で繰り広げているとき森の中で人影が見えた気がした。


 「あれは人、か?人だ。暗いけど月明かりで見えないほどじゃない、確かに人影だ。

  ここで突っ立ってるわけにも行かないし、ここがどこかとか聞いてみよう。

  おーい!すみませんけどちょっと聞きたいことが……」


 そう声をかけながら鳥居をくぐり神社から出た。

 かなり、混乱していたんだと思う。

 そりゃそうだ、気づけばいきなり時間が飛んだ上に住宅地の中にある神社にいたはずなのに神社の外は何故か森。混乱しないほうがおかしい。

 しかし、冷静になればおかしい事に気づけたはずなのだ。

 夜の森で神社を、俺を伺うように立っていた人影。少し怪しい、とちょっと考えればわかるはずだった。

 だが、混乱した頭ではその考えには至れずに……


 神社から外に出てしまった。


 その瞬間、ヒュオッと目の前を何かが通り過ぎ、足元でドゴン!と爆発したような音が聞こえた。 

 

 

次話は夜に。

最低でも週1で上げていきます。


駄文ですがよろしくお願いします。

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