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泡峰 凛3
時は同じくして、放課後。
「失礼します。」
凛はズカズカと、化学準備室に入り、奥の隠し扉を開く。彼女が予想していた通りの不機嫌佐久良がソファに腰掛け、タバコをふかしていた。
「……あの男、何者?」
「なんでそんなこと聞くの?」
「だって、明らかにあの男に対して仮面かぶってたじゃない。それに、このクラスに編入させるってことは、新しい"身内"なんけでしょ?」
はぁ、と佐久良は大きくため息をつく。
「できるだけ彼には近づくな。」
低い声で強くそう言って、佐久良は凛を抱きしめる。
「……わかった。」
渋々という感じで凛はうなづく。まだ彼女は事の深刻さを知らない。