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白の魔導書と黒の魔導師  作者: イチノリュウ
1.
2/4

1-2.出会いと始まり

 人生何が起こるかわからない、そんな陳腐な言葉は頑なに信じない、そう思っていた。しかし、目の前の光景は信じるに値するだろう。


 森にいる、言ってしまえばそれだけだ。しかし、問題はそこではない、なぜ図書館にいた俺が突然森の中にいるのかである。


 俺がなぜ森にいるのか?そんな答えを答えてくれる人物いるはずが……


「お兄ちゃん!こっち向いてよ!お兄ちゃん!」


 何やら騒がしい。俺は思考することを止め声のする方に顔を向ける。


「お兄ちゃん!やっとこっちを向いてくれたー」


 そこには、白の髪をツーサイドアップ、浅葱色(あさぎいろ)の瞳で身長は145cm前後くらい、オシャレな黒を基調としたブレザー、白と黒のチョックのプリッツスカートを身につけた可愛らしい満面の笑みを浮かべた少女がいた。


「……だれ?」


 咄嗟に何を聞けばいいかわからなかったから、取り敢えず名前を聞くことにした。


「私?私は白の魔導書だよ?お兄ちゃん」


(ーー何を言ってるのだろう、意味がよくわからないな。)


 白の魔導書と聞いて図書館いた時には手に取っていた白い本がなくなってることに気づく。


 聞きたいことが山程あるが、取り敢えず今聞かねばならないことを聞こう。


「白の魔導書、聞きたいことが3つある。

 1つ、なぜお兄ちゃんと呼ぶのか。

 2つ、なぜ魔導書が人の姿をしているのか。

 3つ、なぜ俺はここにいるのか。

 一つずつ順番に答えてもらいたい」


「いいよ、お兄ちゃん」


 先ほどから弾んだ声でお兄ちゃんと呼び、にこやかに屈託のない笑顔を向けてくる少女。


(ーー正直、苦手だ。)


 真っ直ぐ笑顔を向けられる経験がほとんどない、あっても親戚の小さな子供ぐらい、なぜか懐いてくるので困ったものだ。


「1つ目の質問の答えは、私は魔導書であり、お兄ちゃんはその持ち主、これからずっと一緒にいるから家族と言っても過言ではないからだよ」


「待て、そこでなんでお兄ちゃんなんだよ!」


「ご主人様や旦那様の方がいい?それとも弟くん?」


「なぜ、そうなる。…普通に名前で呼べ」


「嫌だよ!お兄ちゃんって呼びたい」


「ハァ……もういいよ、お兄ちゃんで」


 やった!と言いながら、嬉しそうにはしゃぐ彼女。どうせ反対しても聞かないだろうと諦めた。


「2つ目の答えはー、いろいろあるんだけど、私が特別とだけ思っていて、普通な魔導書はこんな姿にならないから」


「わかった」


 まぁ、前二つの質問は後から聞くと今更感があるから聞いただけだ。次の質問が一番重要だ。


「最後の質問の答えは、少し長いから木の下にでも座って話そ、お兄ちゃん」


「わかった」


 ずっと立ち話も辛いし、反対する理由もないので近くの木の下に移動し座る、それから話しを聞いた。


 この世界のシステムには魔導図書館というものがあり、魔導書図書館から魔導師の素質があるものに素質にあった魔導書が届くらしい。

 基本的にはこの世界の住人に魔導書が渡るらしいのだが、俺は並外れた魔力を誇り魔導書が届いた。

 世界間を移動するときにはこの世界にアンカーを設定されてるらしく問題ないらしい。逆に、元の世界にはアンカーが設定されていないないので戻れない。


 要約すると、元の世界には戻れない。


「お兄ちゃん、ごめんなさい」


 申し訳なさそうに言ってくる彼女は今にも泣き出してしまいそうなそんな瞳をしていた。


「いいよ。むしろ感謝してる」


 俺はそう言いながら彼女の頭を撫でてやる。始めは恥ずかしそうに次第に笑顔になっていく。


 元の世界の両親には悪いが、元の世界よりこっちの方が面白そうだ、と思ってる。

 行方不明になってさぞ心配しているだろうし、見つからないままだと死んだと思われ悲しむだろう。しかし、俺と同じく両親は悲しいことが起きようと前に進める人間だ。

 それに、俺が選んだ事を尊重してくれる人間でもある。


「お兄ちゃんに一つお願いがあるの」


「なんだい?」


「名前をつけて欲しい!私に!」


 名前、唐突に言われても困る要求を突き付けてくる。彼女は期待を込めた眼差しでこちらを見ている。


 白の魔導書……シロ、シロマは安直過ぎるか……魔導書……グリモワール……ラジエルの書……悩み過ぎても仕方がない、組み合わせてシンプルでいいか。


「お前の名前はシエルにしよう」


「シ……エル……シエル……うん、いいね!それにするよ!私の名前はシエルだよ!よろしくね!お兄ちゃん!」


「あぁ……御影(みかげ) (しゅう)だ、いや、こちらではシュウ・ミカゲと名乗ろう、よろしく」


 ここに来て今更な挨拶を交わし、手を差し出す。彼女は両手で俺の手を握ってくる。それがこれから一緒に旅をする魔導書との出会いと始まりであった。



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