第三話 作戦失敗
ありがとうございますww
「隊長!これ以上は持ちません!」
連合軍はその数を半数以上まで減らし、もはや事実上作戦は失敗していた。
「ダメだ!撤退はしないぞ!」
男の命令で撤退はしなかったが、ここまで損耗率がある今作戦進行は誰が見ていても困難だった。
「ダメです!第八、第九、第十部隊全て全滅」
「前線部隊とも連絡途絶しました!」
通信兵が叫ぶ。
男の目にもキメラが向かってきているのは解った。
「迎え撃て!」
男は剣を引き抜き、キメラを迎え撃とうとしたがその鋭い牙に喉を引き裂かれてた。
隊長の死に周囲の兵達はパニックになった。
「た、隊長が死んだぞ!」
「どうするんだ!この状況!」
兵達は恐怖と本能的な感覚に負け、敗走し始めた。しかし、傭兵達と同じように
後ろから追撃されていた。
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃっ!」
オークの振り上げた剣が蒼と銀色の鎧を貫く寸前に、槍がオークの胸を貫いた。
「立てるか?」
「す、すまねぇ」
俺は倒れている兵士の手を取り、聞いた。
「今、どういう状況だ?」
「あ、ああ。かなり最悪の状況であることは間違いないだろう。さっき、一緒に逃げてた奴の話じゃ隊長が死に、部隊は総崩れになったんだ。残った者達はバラバラに逃げるって訳だ・・・・・」
「そんなことが・・・・」
「あんたも向こうに行くのは止めた方がいい。討伐とか言いながら、討伐されたのはどっちだよ!」
兵士は悔しそうにそう言った。
「兎に角このことを司令部に知らせないと」
立ち上がり、俺に一言言って走り出した。
「俺もどうすっかな・・・もう少し奥まで行っても大丈夫そうだな・・・・」
俺は槍を構え、もう少し奥へ走り出した。
そこで見たのは、数人の兵士がキメラと囲んでいる姿だった。
どうやら逃げたがキメラに追いつかれたようだ。
「はぁっ!」
兵が剣を振り上げるが、尻尾で弾き飛ばされる。
そのまま倒れた瞬間前脚で攻撃した。兵は押しつぶされたと思ったが、その寸前で俺がその前脚に槍を突き立てた。
「ラァァァァァァァァッ!」
キメラは一時後退する。
「助かった。ありがとう」
俺は槍を構えたまま、速く立ち上がれと言った。
兵達は剣や槍を構えてキメラを取り囲む。
「おりゃっ!」
キメラの初撃を避け、胸に一撃食らわせるが、キメラは反動で俺をブッ飛ばした。
「がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
痛・・・・。
骨が軋む音がする。血反吐が出る。
キメラは俺が予想していたよりも遥かに強かった。
赤い眼が光り、獲物に狙いをつけた。
俺は槍を使って何とか立ち上がり、キメラの次の攻撃をギリギリで回避する。
「おい、大丈夫か?」
「悪い」
俺は兵士の手を貸してもらい、立ち上がる。
くそっ、これ以上の戦闘は無理か・・・。
兵達も疲れており、負傷している者もいる。
「ん?」
キメラが一度胸を気にするような仕草をした。
あの傷は・・・・。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
俺は残りの力を使って走り出した。
キメラの牙を体を滑らせて回避し、丁度胸のあたりで立ち上がって傷をつけた胸の箇所にもう一度槍で突いた。
同じ個所だったのか、二回目の攻撃はかなり深く槍が入り込んだ。
「こんな所で死んでたまるかぁぁぁぁぁぁ!」
キメラの胸を槍で貫き、手を放して直ぐにキメラの下から飛び退いた。
巨大な図体はゆっくりと倒れた。
「はぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」
ガクリと膝を着く。
「おい、あんた大丈夫か?」
「ああ、何とかな」
兵士は俺を立ち上がらせてくれた。
「奴らが来る。速くここから逃げよう」
「そうだな・・・・」
「皆、聞いたな。速く逃げるぞ」
兵達は負傷者を支えながら森から逃げた。
二時間後、俺と数人の兵士達は森を抜けてリディアス王国の城壁が見えた時だった。
「なっ!」
黒い影が上空から出現し、俺達の目の前に現れた。
黒い影は黒のマントへと変化し、フードの奥の口は異常なまでに吊り上がっていた。
「闇の魔道士・・・・」
「敵の指揮官がどうしてこんな所にいるんだ!」
「お前!どうしてここにいる!」
魔道士はゆっくりと口を開いた。
フードを深くかぶっているので、口しか見えない。
「お前らこそ、逃げ切れるとでも思っていたのか?クク・・」
魔力を異常なまでに溢れ出る。
「しゃらくせぇ!」
周りの兵達は武器を構えて突撃したが、
「・・・・・・」
地面から突き出した黒い刃が兵達を貫いた。
「・・・・・・」
倒れ込んでいた俺は何も出来ずに、この状況を見ているだけしか出来なかった。
「なるほど、その瞳・・・・異世界人か・・・おもしろい。精々、楽しませてくれよ」
そう言って魔道士は再び黒い影となって何処かに消えてしまった。
俺以外には誰も動かず、ただ、俺がそこにいた。
ありがとうございましたww
作戦はこれで終了し、一応は騎士編になります
次回もよろしくお願いします!