表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バトルフロンティア  作者: ぞえ
異世界修行編
4/35

第四話 修行

ありがとうございます。




「ほら、もっと腰を低くして、体制を整えろ。そして、目標に向かって思い切り突き出す」

「ふんっ!」


 太陽が真上に近づいた時、俺はケイジさんから貰った槍で空を貫いていた。

 

「よーし、そんなもんでいいだろう。一旦、休憩にしよう」

「はい」


 俺は槍を置いて、木の椅子に座る。


「ふぅ」


 すると、セバスチャンが昼食のサンドイッチを持って来てくれた。それを美味しく頂き、紅茶を啜る。

 すると、ケイジさんは立ち上がった。


「んじゃ、午後は自由にしたらいいさ。俺はちょっと仕事に行って来る」

「また、魔王軍の残党ですか?」

「ああ、そいつらの今後の対策会議だな。元帥四人いないと委員会が始めてくれないんだよ。まぁ、他の三人もそのうち紹介してやるよ」


 そう手をブラブラと振りながら行ってしまった。

 俺は水を飲み干すと、槍を再び掴んで突き始めた。

 そうして、一時間程時間が過ぎた時だった。

 セバスチャンが槍を片手にやって来た。


「稽古が必要でしたら、私が相手になりましょう。何事にも相手がいないとダメでしょう」

「いや、流石にあなたには頼めませんよ」

 

 すると、セバスチャンの目が光り、


「おやおや、ただの爺だと思っては困りますよ」


 微かだが殺気を感じる。

 以前の俺なら無神経過ぎて感じられていなかっただろう。だが、この修行が始まってから一週間が過ぎた時である。

 俺も武人としての基礎が成り立ってきている証拠だ。


「分かりました。では、お願いします」


 そうしてセバスチャンは槍を持って走って来た。どちらの槍も突くだけに特化した集団戦で使う槍ではなく、突く、斬るの両方を兼ね備えた個人で勝手に暴れる槍である。


「ほおっ!」


 セバスチャンの動きはかなりキレのある動きであった。一撃一撃も力強く、ステップもかなり素早い。


「俺だって!」


 突き出して来た槍を受け流し、懐に飛び込んだ。そのまま刃がない方でセバスチャンの腹を突いた。


「や、やりますなぁ」

「あなたこそ」


 俺とセバスチャンは同時に地面を蹴った。








 修行を始めて一ヶ月が経った。

 

「よし、そろそろ次のステップにいってもいいな」

「次のステップですか?」

 

 すると、師匠は右手を突き出した。何やらブツブツと言った後に炎の球を放った。


「ほぇぇぇぇ」


 魔法かぁ。

 

「次は魔法を使っての戦闘だ」


 師匠の言う通り体全体の魔力を掌に集中させようとするが、集まったと思った瞬間弾ける。

 何度も何度もやってみるが、あまり良い成果は出なかった。

 

「くそぉ、俺才能ないのかなぁ」

「魔力ってのは鍛練や修行で徐々に身に付くものだが、それでも個人によって限界はある。それでも、才能の有無で魔法が使えないことがない。ただ、武術を鍛えれば精神が鍛えられない。精神を鍛えれば、武術を鍛えられない。その両立こそがこれから先一番大事になってくるもんなんだ」


 なるほど。なるほど。


「だから、お前はお前のペースでやればいい。別に俺のマネをする必要はない。お前の戦い方を作り出せばいいんだ」


 俺の戦い方かぁ。

 槍・・・槍?

 そもそも何で槍なんだ?こういうのって、普通剣とかの方じゃね?

 

「う~ん」


 槍が俺に合ってると思ったから?初めに持った武器が槍だったから?


「分かんねぇ」

「そう、難しく考えるな」


 師匠の言う通りだ。

 難しく考えるな。


「槍が使いたいから」


 使いやすいから。

 の一つに過ぎなかった。







 次の日。師匠は三日も泊まりで仕事があると言って出発した。

 俺は自主鍛錬をしていろというのを言われた。


「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


 右手に全身の魔力を集中させるが、何故だか集まった瞬間弾ける。

 俺は意地になって一日中それを繰り返した。その結果。


「ぬはっ・・・・・死ぬ・・・・」

「魔力の使い過ぎです。もっと、効率よく使わないといけません」


 そう言って目の前に料理を出してくれる。

 俺は残りの体力で食べ終えると、ベットに潜り込んだ。


「魔法かぁ・・・・・どうしたもんか」


 例えば魔法を使わない。

 己の肉体と槍のみで戦う。これはこれでカッコいい。

 例えば意地でも魔法を覚える。

 己の肉体と魔法のみで戦う。カッコいい。

 こういうのって、普通神様的なのが登場して、力を譲渡してくれるもんじゃねーのかよ。


「はぁ」


 ため息を吐く。

 師匠が言った言葉が聞こえる。


「両立か・・・・」


 やってみる価値はあるのか?

 武術と魔法。

 難しいとも言っていたな・・・・。


「ふっ、俺に出来ないことなどない。やってやるさ」


 俺は天井に拳を突き上げ、意気揚々と宣言するのであった。


次回も宜しくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ