第二話 明日
ありがとうございます!
「これが・・・・」
「おすすめはしないけどねぇ。まぁ、仕方がないかぁ」
アディアさんは一本の槍を見て言った。
「魔王軍との戦いのさい、突撃部隊が使っていた七十七式突撃槍。今はもう何処にもないよ」
「まぁ、これぐらいしか今の所持金で買える物はありませんから」
「何で?騎士になったんでしょ?」
「いや、まだ正確にはなってなく。入った部隊も何というか・・・正規部隊じゃないんですよ。だから、自分の装備は自分で揃えろということです」
「なるほどねぇ。まぁ、それなら安く売ってあげるから。持っていきなよ」
「ありがとうございます」
俺は槍を持って店から出る。
「ねぇ」
サクヤが待っていた。
「何だ?」
「コカトリス。本当にあんたがやるの?」
俺はゆっくり歩き始める。隣にサクヤが並んだ。
「ユウト。あんた死ぬよ」
「・・・・・・・・」
「私はこっちに来てもう直ぐ二年。結局のところ、帰る方法は見つからなかった。私は必死に生きる力を付けた。あんたはどうなの?私なら兎も角、ユウトは技術的にも戦力的にも私より劣るでしょ?」
「そりゃ、そうだけどさ・・・」
サクヤは呆れながら言った。
「ユウトには無理だよ」
「無理かどうかは・・・分かんないだろ」
「あっそ・・・唯一の異世界人仲間だとは思っているけど・・・・ユウトがコカトリスを相手にして生き残れるとは思わない」
そう言った。
「だとしても・・・俺はやらなきゃいけないんだ。折角掴んだこのチャンス。師匠に顔向け出来ねーよ」
そう言いながら俺は先を急いだ。
「ちょっ、ちょっと!」
「隊長すげーな」
演習場でゼス隊長は他の部隊の騎士達相手に格闘訓練をしていた。
かなりの速さで相手を圧倒し、次々と倒していく。
「ゼス隊長はああ見えて昔は凄腕の傭兵だったみたいだし」
「へぇ」
「って!何でユウトがいるのよ!」
いきなりサクヤに怒られた。
「別に。それに、サクヤだってなんでいるんだよ!」
「私は一応兵士だし!訓練ぐらいするわよ!」
そう言ってサクヤは剣を持って歩いて行った。
「そんなに裸見たこと怒ってんのかよ・・・・」
俺はため息を吐くと槍を持って隅で振り回した。
訓練が終わり、風呂に入る。
「ふぅ・・・・・・・いい湯だ」
「だろ?ここは特別に作ってもらったんだ」
ゼス隊長は隣に座り込む。
「なぁ、本当に大丈夫なのか?」
「任務のことですか?大丈夫です、問題ありません」
「そうか?」
「はい、だから心配しないでください」
少し俯く。
今思うと怖い。キメラ戦では周辺に他の兵士がいてくれた。
何故か安心が出来た。
だが、次の戦いは違う。
仲間はいてくれるだろう。手出しはしないが、俺の命が迫れば助けてくれる。だけど、それじゃぁ、ダメだ。
俺はこの国の兵士にならなくちゃいけない。
力をつけて、この世界で生きていく力を身につけないといけない。
「サクヤ、心配してたぞ?」
「サクヤが?」
「ああ」
「でも、いつも怒ってますよね?」
「あれは・・・・」
ゼス隊長はゆっくりと話した。
「丁度、一年前。サクヤと同期に入隊した奴がいたんだ。二人は親友みたいで、仲が良かった。けど、そいつは入隊三日後に死んだんだ。サクヤの目の前で」
「・・・・・・・・」
「それからだったよ。弱い奴を嫌うようになったのは。自分に負けた兵士には皆こう言うんだ『そんなに弱いなら兵士なんて辞めろ』ってな。あいつなりの警告なんだろう」
「そうだったんですね・・・・」
「ああ、だけど、辞めないんだろ?」
「はい、俺は決めたので」
俺は風呂から上がった。
食堂は他の兵舎と一緒になので俺は食堂へ向かう。
時間は午後七時だったと言うこともあったので、割と人数が多かった。
「ユウト。ここ、空いてるよ」
「悪いな」
俺はスープとパンを持って空いているサクヤの反対側に座った。
「こういう場所の食事はマズいと思っていたが、案外そうでもないんだな。このスープなんて結構旨い」
「そう?別に食堂だけ食べなきゃいけないなんて軍規にないからね」
「つまり、勝手に外の飯を食べてもいい?ってこと?」
「んーうん。そういうこと」
サクヤはパンを飲み込むと言った。
「言っとくけど、ここは独立部隊が集結した兵舎。独立部隊は私達、第一から第七小隊まで。独立部隊はその殆どが傭兵上がりの連中。だから、この部隊は正規部隊と仲が良くないのよ。だからかな、私達ばっかり囮だったり危険な任務がまわって来るの。三週間後の大規模な作戦でも突入部隊に私達が任命されてるの」
「作戦?」
「詳しいことはユウトが入隊出来たらの話。独立部隊は凄腕が多いからね」
「俺も明日にはその凄腕の仲間入りだな」
「さぁ、どうだか」
ありがとうございました。
次は色々戦う話になります。




