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砂糖と雑巾  作者: お空
9/24

飴が落ちた瞬間

菜々子とファミレスで別れると、自宅へ向かった。

もしかしたら母さんが帰ってきているかも知れない。

そう思うと、駆け足になっていった。


家の前に着くと、いつもと違う感覚を感じた。

母さんが帰ってきていますように。

ドアを開けようとした。

開かない。

ガチャ、ガチャ、という音が響く。まさか。すぐにインターホンを押した。

ピーンポーンとこちらにも聞こえた。しかし返事がない。もう一度押しても結果は変わらず、計5回鳴らしてみたけど誰も出ない。行くときは鍵を開けていた筈だ。守が閉めたのだろうか。中で倒れているとか。



とにかく電話しようと思い、携帯を開いた。

プルルルル…

呼び出し音が鳴る。

『ねぇちゃん?』

守が出た。無事、生きていたようだ。良かった、と安心した。

「そうよ。さっさと鍵開けて!」

『わり、俺今彼女ん家』

──全然良くない!

「はっ…はあ?」

この馬鹿弟は一体何してんだ、母親がいなくなったのにも関わらず呑気にイチャついてんのか。

『ねぇちゃんこそどこ行ってたんだよ』

まるで反省しようとも思っていない。

「菜々子に相談しに行ったのよ!直接行った方が真面目に考えてもらえるでしょ」

『電話で良いじゃん。俺遅くなるから』

その瞬間ツー、ツー、ツーと鳴った。切りやがった。しかもこのタイミングで。



守が留守の間、鍵は閉まっていた。その間に母さんが帰ってきていたら──?

えらいこっちゃ。


とりあえず、家の中に入ろうと思って鍵を探した。

ネコのマスコットをつけている鍵を、バックの中に手探りで。

「あれ?」

鍵がない。

バックの中に鍵がなかった。

家の中に置きっぱなし…。


守は夜遅く帰ってくるらしい。今は14:00、まだまだ時間がある。

さて、どうしようか。


仕方ないので近くのファーストフード点で時間を潰すことにした。ハンバーガーを片手に、これからどうするか考え込む。

隼人の家、喫茶店、陽子の家…。その他色々考えは浮かんだ。

カラオケ等の遊びも悪くない。

だが、かなり重要な問題点があった。財布に入っているお金がほぼないのだ。元は菜々子に相談しに行っただけだった。ファミレスでハンバーグを食べたのもギリギリの想定外であった。

残金、1352円。しかもコインケースに入れて行ったので、バスカード、割引券、カードはもちろん入っていない。

 菜々子はこれから予定があるって言っていたし、唯一少ない友人もバイトだったり何だりでなかなか泊めてもらえそうな所はない。

いや、泊まるどうのこうのよりも私は家の前で母さんの帰りを待たなければいけないのではないか?

母さんは鍵を所持しているのではないか?しかし携帯は持って行っていない。あ、でも私が朝帰りした時、鍵は閉まっていたような。ということは母さんは鍵を持っている。イコール、私はどこかフラフラしていてもいいということなのだろうか。


色んな思考が繰り広げられる中、やはり陽子に頼ろうかという思いがあった。

しかし、あの夢がどうしても邪魔をする。

思い出すと、余計頭の中がぐるぐるした。

まるで嫌いなキャラメルのように。



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