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砂糖と雑巾  作者: お空
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甘いキス

「カンナ」

隼人が私の名前を呼ぶ。

行為を終えた私たちは、ベッドで横になっていた。

「なぁに」

手を頬に当てて、腕で逆三角形を作る隼人が微笑む。

「好きだよ」

「あたしもだよ…今日だって友達が隼人の作ったガトーショコラ美味しいって言って、笑顔になってたの見て嫉妬しちゃった」

「何だよそれ」

隼人が吹き出す。

「何であたしは甘味が嫌いなんだろう…」

「関係ないよ。カンナはカンナだし、そんなこと問題ないだろ」

そう言って私のおでこにキスをしてくれた。

「でも、ショートケーキ頼んだからね。食べれなかったけど…写メは撮ったからね」

「十分だよ」

私と隼人は5秒くらい見つめあった。

「いつか、俺にケーキ作ってよ」

隼人は確かにそう言った。私の本音はとんでもないと思ってしまう。何故、嫌いなものを自ら生み出さなければいけないのだ。そんなことを思いながらも、

「うん」

と私は一応、応えた。

「やった。やっぱ良いよな…彼女の手作り」

嬉しそうにする彼氏を見て、私は作ってみても良いかなと思った。私のつまらない愚論なんかより隼人の喜ぶことをしてあげたい。

それが、何よりだった。


「愛してるよ」

再び抱き合ったのは、言うまでもないだろう。



誰かが、私にキスをしている。

私は寝たフリをしているみたいだ。

得体の知れないそいつは、ソファの上に仰向けになっている私の横にいた。決して上から襲いかかっているわけではない。そいつの足はピカピカなフローリングに膝立ちしているようだ。


軽く唇が触れる程度が、段々長くなる。しまいには舌が入ってきそうでならない。

案の定、私の口の中に何かが侵入してきた。

甘い。

吐き出したくなる。

世界で一番、嫌いな味。


一体、私の中で何が起きているのだろう。

そんなことよりとにかく、この口の中を誰かどうにかしてほしかった。





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