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砂糖と雑巾  作者: お空
13/24

浮気相手

23:00


私は部屋で何となく携帯をいじっていた。データフォルダを眺めていると、隼人が作った、喫茶店「優香」のショートケーキの画像が目に映った。

陽子と店に行ったとき撮ったものだった。


私は前、隼人にこんな質問をしたことがある。


「どうして喫茶店の名前が女の人の名前なの?」

そう聞いたら、「知らない」と言われた。

隼人の本当に好きな人の名前だろうか?と、今だから考えてしまう。



次はアドレス帳を整理しようと思った。

気付かないうちに登録数が増えていてビックリした。


“菜々子”


その名前を見て、考える。

本来なら菜々子は、私は彼氏がいないと思っている筈だ。

ファミレスでの会話で、「カンちゃんは良いダンナ見つかるんだろうな」、みたいなことを言われたからだった。

なのに隼人の前では“カンナには渡さない”などと言っていた。

…大体想像はつくが。

おそらく菜々子は隼人と私が二人きりでデートしているところを目撃したのだろう。



菜々子の番号に発信した。

呼び出し音が鳴ると同時に鼓動が高まるのが分かる。


『はい』

菜々子が出た。まぁ当たり前の事なのだが。

「もしもし」


昔ながらの“もしもし”を口にしてみる。


『どうしたの?』

私は思わず拳に力を入れる。

用件などないからだ。


「いやっ…今日はありがと」

『あぁ、いいのよ』


優しい口調で菜々子は言ったが、なぜか迷惑そうに聞こえたのはきっと私だけだと思う。


「今日は何してた?」

まるで菜々子の彼氏のような台詞だな、と我ながら感じた。


『彼氏と遊園地よ。もちろん向こう持ちでね。金持ちのこいつと結婚しようと思ったわ』

菜々子は嘘をついた。

いつもの私なら、素直に受け入れ、そして羨ましがっていたことだろう。


「へえ、良いなぁ」

一応いつものように羨ましがった。


『ホントにそんなことないよ』

ふっと菜々子は否定した。


「その彼氏とHはした?」

言ってやった。


『え、あぁ…』


狼狽える声が聞こえてくる。

ざまぁ。


『18:00には彼氏の家に行って…、そのままよ。で、さっき無理矢理帰ってきたの』

「その彼氏のことスキ?」

私の質問攻めに戸惑う様子だった。


『まさか。あり得ないわ…お財布代わりよ』


私の…私の最愛の人はお体の相手ですか。そう思った。


「ははっ、さすが菜々子!」

『…………』


何か言えよ。


「じゃ、また」

私が一方的に切った。菜々子は完全にアリバイを作っている。



もう何だか、菜々子がうざったい。

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