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砂糖と雑巾  作者: お空
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甘さは求めない

一文でも読んで頂けるだけで、幸せです。

「嫌い」

カンナは、目の前に出されたショートケーキに向かってつぶやいた。

「え」

友人が驚いてカンナを見る。

無理もない、喫茶店でショートケーキを頼んだのはカンナ自身なのだ。

「あ、いや」

陽子の驚くような視線に耐えられず、ゴメンと軽く謝った。

「ビックリしたぁ、イチゴの乗ったショートケーキは嫌いだったんだ!イチゴのあるのと

ないのとじゃ全然違うもんね。私はイチゴが乗ってる方が好きだけど」

「まぁ」

「メニュー表に、写真1つ載ってないって、ある意味異常だよね」

陽子が手書きの可愛らしいメニュー表を手に取り、思ってもないことをフォローした。


私は、甘いものが嫌いだ。

──山本カンナ

「名前を漢字に当てはめるとしたら、“甘奈”でカンナじゃない?」などと友人にほざかれた時は吐き気がしたほどだ。


目の前に出された白く輝くショートケーキ。ホイップの頂上には真っ赤なイチゴ。

──大嫌いだわ!

とは言え頼んだのは私である。

頼んだ理由、それは恥ずかしい限りなので詳しくは言わない。

だけど、私が食べるためではなく、…誰かのため。

 陽子はコーヒーを一口飲んで、私のくそ不味いショートケーキより一際デカいガトーショコラを崩す。

「うまそう!」

へぇ、そんなに好きなのか。

私はつい陽子をじっと見てしまう。

ガトーショコラが口に運ばれた。

「美味しい?」

「めっちゃ美味い」

陽子が笑った。可愛いな、と思う。

その瞬間、私の心のどこかがキュッと響いた。






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