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8: 身体は十分綺麗なのである

 

 解せぬ。

 まっこと解せぬのである。


 それは、人間と言う存在についてだ。

 何故彼奴らは、我輩を洗おうとするのであろうか。

 我輩が臭うとでも言いたいのか?


 だとすれば、まっこと失礼な話である。

 我輩は清潔だ。

 同族の中でも、綺麗好きな性質であると自負している。

 こうやって、いつも舌で綺麗にしているのである。

 我輩は昔からずっとそうやって来た。それで十分綺麗になるのだ。


 なのに人間ときたら、少しでも隙を見せるとたちまち我輩を洗おうとしてくるのである。

 あの水桶のある小部屋に我輩を連れ込んで、雨のような水が出るもので、我輩を水没させるかの如く。


 許せぬ。

 まっこと許せぬのである。


 しかも、何が許せぬのかと言うと、日頃は我輩に従順な主人が率先して洗おうとしてくるのである。

 これは我輩に対しての背信行為である。

 なので、我輩は絶対に洗わせてはやらぬのだ。


 今までの周期からすると、そろそろその時期である。

 これはどこかに避難していた方が良いのかもしれない。


 この前は、小癪にも我輩を罠に嵌めおった。

 食事の準備すると見せかけて、我輩を捕まえて強引に例の小部屋に連れ込んだのだ。

 今思い出してもむかっ腹が立つ。


 ただ、我輩を他の同族と一緒に思われては困るのである。

 我輩は太古の昔からずっと生きてきたのだ。

 人間などより、よほど知能は高いのである。

 二度と同じ手に引っかかることは無い。



 …………む。主人が球を持っている。


 ふむ。また我輩と球遊びがしたいのか。

 でかい図体をして、まだまだ子供であるな。

 仕方ない。

 非常に面倒ではあるが、我輩が相手をしてやろう。


 むぅ?

 我輩を抱き抱えてなんとする?

 主人の部屋で戯れようと言うのか?

 仕方ない。それならば従ってやろう。

 主人は良い匂いがするから、抱きかかえられるのはそれほど悪くないのである。



 …………主人? そっちは部屋では無いぞ? 

 そっちには何も無い。

 そっちにはあの小部屋しか…………?!


 ま、まさか!?


 主人!? 主人!!

 また我輩を謀ったのかっ!?

 や、止めろ!! 止めるのだ主人!

 早まるな、考え直すのであるっ!!


 あ、や、に、にょわあああああああああああああ…………。


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