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7: 見守ってやっているのである
今日も主人は机に向かって学問に勤しんでいる。
最近その傾向が高くなってきている。
感心なことではあるが、時には息抜きは必要である。
(ゴロゴロ)
学問を行う事に反対しているわけではない。
どんな種であれ、学ぶ事は重要だからだ。
(ゴロゴロ)
我輩は完璧であるからして不要だが、我が同族にも見習って欲しいものだ。
(ゴロゴロ)
ただ、我輩はここでのんびりしておくのである。
(ゴロゴロ)
別に暇を持て余しているわけではない。
(ゴロゴロ)
主人が無理をせぬように、見張ってやっているだけなのである。
(ゴロゴロ)
嘘ではない。
我輩は太古の昔より生き続けている。この世の他の生物は皆赤子のようなものなのである。
なれば年長者として、我輩がそうするのもある意味当然の事なのだ。
(ゴロゴロ)
(ゴロゴロ)
(ゴロゴロ)
む?
主人。
球を拾い上げて何とする? 学問はどうした?
ふむ……なんだ。
我輩に構って欲しいのか?
仕方ない。
まっこと仕方ないが、相手をしてやるのである。