表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/42

37: 放浪の日々なのである

 

 我輩は太古の時より生きている。

 人には想像も出来ぬであろうその膨大な年月の大部分は、我輩一人で生き抜いてきた。

 住処を失った事だって、前足の爪の数などでは、到底数え切れない。

 生き抜く術は十分に理解している。

 

 我が種族は狩猟種族である。

 その気になれば、そこいらの鳥獣を狩ることだってお手の物である。

 

 しかも、昔とは違って今はそこいらに食い物が溢れている。

 人はまだ食せる物も、平気で道に捨てるのである。

 人間は愚かである。


 とはいえ、ついこの間まで新鮮な食料を取っていた我輩としては。

 少々、鼻につく臭いが気にかかる。



 ……いかんな、我輩とした事が。



 どうやら人間の世俗に慣れきってしまっていたらしい。 

 情けない。


 我輩の気持ちを見透かしているかのように、この所の天の色は、昼であっても薄暗く。

 陽の光も分厚い雲に遮られ、少々寒い日が続いている。



 …………そうだな。






 決めた。 

 生まれ故郷に帰ろう。



 人の手によってこんな遥か遠くの地に連れてこられたが、ここは我輩のふるさとはここではない。

 あの土地ならばこの季節でも、もっとずっと暖かかった筈だ。



 よしっ。



 思い立ったが吉日である。

 早速向かうとしよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ