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32: 閉め出されたのである

 

 まっこと腹が立つ。

 誰の断りを得て、偉そうに降っているのか!

 特に許せぬのは我輩の自慢の髭に、無遠慮に積もろうとするが許せぬ。

 

 はらはら、と。

 人の子の中にはこれを喜ぶ者もいるらしいが。

 全く意味が分からぬ。


 ジッと横になっていては、身体に勝手に降り積もるし。

 降り積もれば歩きにくいし。

 足も冷たい。

 

 百害あって一理もないのである。

 こういう日は、家の中でヌクヌク温まるのが正しい過ごし方というものである。


 そうだ。

 さっそく帰るとしよう。




 ……ぬ


 ……ぬぬ!?

 

 どうしたことか!?

 一体誰の差し金か!

 さては我輩を凍死させる気かっ!


 我輩の家への通り道が閉め切られているのである。

 身体で押しても……ビクともせぬ。


 このままでは…………拙い。


 主人! 主人よ!

 主人はおらぬかっ!?

 主人!


 主人! 主人!

 主人! 主人! 主人! 主人!


 







 

 ……おお、開いた。

 開けてくれたのは……主人か!



 ほぅ……。



 ……だが、主人よ。礼は言わぬぞ。

 約束が違うからだ。 


 どうして閉めていた!?

 ここは常に開けておくという、決まりごとであろうっ!?



 いや、言い訳は不要だ!

 この冷えた身体の前には、何の言葉も意味は為さぬ。

 ただ罰として、我輩を抱えたまま、ぬくぬくの場所に連れて行くが良い。



 罰だからな。

 あくまで罰なのだから、我輩を離すでない。

 もちろん厠の時もだ!


 決して家に入れなかった事で、不安になった訳ではないのである。

 な、泣いてなんかないのだ!

 勘違いするなよ、主人!



 と、ともかく、今日はずっと我輩の傍に居るのだ。

 これは命令である!


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