28: 不可解な入れ物なのである
良い天気なのである。
ぽかぽかの日差しが心地よい。
ところで、以前から思っていた事がある。
家の周囲に水の入った入れ物を置いている家のことだ。
同族達から聞いた話では、あれは我が種族のことを嫌う人間が、我輩達を自分の住処に寄せ付けまいとして置いているそうな。
笑止。
初めて見た時こそ物珍しさはあったが、今となっては何の感想もないのである。
ただ、どうしてあの入れ物を置けば、我輩達が近づかなくなると考えたのか。
それだけは疑問でならない。
だがまぁ、考えるだけ無駄であろうな。
まっこと、人とは愚かである。
さあて。
こんな家の事など放っておいて、空き地に向かうとするか。
年長者である我輩は、同族に頼られる存在なのだ。
皆、我輩の到来を、首を長くして待っているに違いないのである。
ん?
何やら、先程の家の水の入れ物付近から、ブスブスと煙が上がっている。
同居人の吐く煙と同じような、嫌な臭いだ。
しかも、徐々に臭いは強くなっている気がする。
ふむ…………。
じょ~~~~~~~…………。
おお、うぅ……っと。
……ふぅ。
さっぱりした。
ふふん。
どうやら消えたらしい。
流石我輩なのである。
では、空き地に向かうか。