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24: 散歩が必要なのである
我輩が狩猟種族の矜持を忘れることはない。
肥えた身体は、直ぐに元に戻す。
いつもより広く散歩するのである。
さすれば、必ず元の均整の取れた身体に戻るであろう。
とは言え、我輩の縄張りは決まっている。
それを一歩越えれば、他の同族の縄張りが広がっている。
散歩には注意が必要なのだ。
当然なのである。
我らはそうして同族との領分を護ってきたのである。
ああ、気にしなくても良い。
空き地は共通の縄張りだ。
非戦闘区域なのである。
我らは修羅の世界に身を置いている。
そういう場所も必要なのである。
む?
噂をすれば……。
我輩の縄張りに、我輩の断わりなしに入り込んでいるものがいる。
許せぬ。
道理の通じぬ野良犬畜生ではあるまいし、嘆かわしい。
ここはビシッと我輩が知らしめてやろう。
ここは一体誰の縄張りなのかを。
おいっ、そこの同族!
ここは我輩の…………。
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……………………………………イカス雌を見つけた。