20: 興味は惹かれないのである ※
最近、入ってはいけない部屋が出来た。
我輩が中に入ろうとすると、途端に追い出すのである。
同居人だけならまだしも、主人までもが、だ。
乱暴にはしないものの、必ずと言っていいほど抱えあげられ、外に連れ出される。
ふんっ。
我輩が何も知らない子猫だと思ったか。
理由など当に分かっている。
こっちこそ御免なのである。
別に関心があって入ろうとしている訳ではないのだ。
寧ろ、何ら興味はない。
と言うか、我輩の興味を引けるものがあったら、目の前に持ってきてもらいたいものだ。
この我輩が褒めてやろう。
我輩は悠久の時を生きている。
今更、ちょっとやそっとでは興味など惹かれないのである。
……おい、主人。
何故我輩を抱え上げた?
これだけは言っておく。
勘違いしているようだが、我輩は別に興味があるわけではない。
近づきたくて近づいている訳ではないのだ。
馬鹿にするな、なのである。
ただ……そちらに用があるだけなのだ。
本当である。
嘘ではない!
疑うなら我輩の円らな眼をジッと見るが良い。
どうだ!
一寸の曇りもなかろう!?
だから一刻も早く、我輩を放すが良い。