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19: 黒ぶちなのである

 

 我輩は物知りだから、この我輩と全く同じ動作をする同族は、実は我輩であることを知っている。

 目の前の光景を反射する板に、我輩の身体が映し出されているだけなのだ。

 人間とは愚かだが、ごく稀に役に立つ物も作るのである。



 ところで、我が同族には多種多様の毛並みがある。

 人間のように画一化していないのである。

 

 白一色は、メスには良い。

 だが、やはり単色であることの地味さは否めない。

 もう少し派手さは欲しい所だが、虎柄までいくと、いとわろし、なのである。

 あれは、もはや下品そのものである。

 まっこと嘆かわしい。


 銀縁も暗くてかなわぬ。

 根暗の輩ばかりなのに違いないのである。


 ただ三色の毛並みは、中々に格調高い。

 それだけは、我輩とて認めざるを得ないのだ。


 だが、やはり。

 我輩の毛並みが最上なのである。

 この額のところの感じなど、そこいらの同族には真似できない渋みがあろう?

 我輩の整った毛並みっぷりは、他の同族の中でも一際だって見えるのに違いないのである。


 例え、我輩の周囲に百を超える同族がいようとも。

 我輩を多少でも知る者であれば、一目で我輩を見出すであろうな。


 ふふん。

 我輩は同族達の、羨望の的なのである。



 ん?

 ところで、あそこに歩くのは、主人ではないか。


 こんな場所をウロウロと……。

 仕方がない。

 年長者である我輩が、出迎えにいってやるとしよう。

 


 おい主人………………んん!?



 ……主人。

 その胸に抱いている同族は何だ?

 我輩と似ている、中々上品な毛並みの持ち主だが……。


 ……まさかとは思うが、主人。

 もしや、我輩と間違ってなかろうな?


 おい、主人。

 何故、他の同族を撫で擦っている!?


 主人!

 主人! 主人よ!

 おいっ! ふざけるな主人!!


 どこへ行くのだ!? 

 我輩はここであるっ!!


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