14: 暑いのは嫌なのである ※
※イラストありきで作られています。
我輩、温かい気候は好んでいる。
ぽかぽかと暖かな風も好ましく、ぽかぽかと照らされる陽射しも心地が良い。
その穏やかな環境で、まったりと寝て過ごす……。
まっこと至極である。
何も考えずに陽の光に我が身を晒すこと以上の快楽が、この世にあろうか?
いや、ない。
そんな温かいのが好きな我輩ではあるが――――
熱いのは許せぬのである!
我輩を熱し、溶かさんとするとするほどの日差し!
我輩の喉の渇きを誘発し、干からびさせんとする猛暑!
まっことこの時期の季節と来たら、度し難い。
筆舌に尽くしがたしとは、正にこの事なのである。
熱いのは嫌なのだ。
まあ、そんな日は日陰で過ごす事こそ吉である。
軒先の影の下も良いが、陽の入り方によって影は移動する。
それに合わせて移動するのは、非常に面倒でもある。
にゃふふふ。
だが、我輩は物知りなのである。
もっと良い場所を、我輩は知っているのだ。
それは人間が移動する時に使う、乗り物の下の空間である。
身体のでかい人間には不自由があろうが、我輩達にとっては最適な場所なのだ。
ここであれば影は動かぬので、日が直接当たることもない。
狭い空間は望む所である。
にゃふぁふぁ……む。
ちと眠くなってきた。
ともかく、我輩は一眠りするのである。
…………ぐぅ。
……………………すやすや。
………………………………すやすにゃ。
すやす…………熱い。
……乗り物が移動している。
人間、許すまじ。