9: 住処が変わったのである
我輩の住処が変わった。
主人が今までの住処を離れ、新たな住処に移動したのである。
我輩もそれに連れられて、主人と共に新たな家での生活に入っている。
あの臭いオスと離れられたのは僥倖。
飯を献上していた主人の母親は、まあ達者に暮らせ。
だが実のところ、新たな住処に移動する事は、我輩はあまり好きではない。
気に入る隠れ場所の特定など、色々面倒なのだ。
同族には住処を変われば、情緒不安になる者も多いと聞く……。
気持ちは我輩も分からなくは無い。
ただまあ、我輩は長年を生きる偉大な種である。
この様な事はもう慣れっこなのである。
早速、隠れ場所探索と寝床の構築に入ることにしよう。
しかし、今までの住処と比較すると、この新たな住処は狭い。
なので、隠れ場所の特定も容易ではない。
物が殆ど無いのだ。
そして、最近主人がやたらと我輩を構ってくるのである。
急に話しかけてきたり、我輩を撫でたりするのだ。
まっこと、鬱陶しい事この上ない。
我輩の行動を妨げようなど、十年早いわ!!
…………とは言え、我輩も年長者として気持ちを察してやる。
主人も隠れ場所が未だ見出せず、不安なのだろう。
仕方なく、我輩は主人を相手してやるのである。
もちろん、我輩は不安な事などはない。
あくまで、あくまで主人の為なのである。
まっこと有り難く思えよ? 主人。