第6話 竜が あらわれた
竜があらわれた。
その一報は騎士団を恐怖に陥れた。
この辺境の地に竜がいるなど、誰も知るよしがなかった。
森の奥から、雄々しく恐ろしい叫びが聞こえる。
強風にあおられ、木々が戦くように軋み、この場から逃れようとしているかのように横倒しになる。
ごうごうという、羽ばたきが聞こえる。
轟音と共にいま、精強たる騎士団の前に、竜が降り立った。
人族の群れの前に降り立ち、睥睨する。
なるほど、どこかの国の騎士共らしい。
どいつもこいつも、白く磨き上げられたご立派な鎧を着ている。
少女たちの村には火の手があがり、広場には村人たちが集められていた。
男共は斬首され、女どもは縛られ衣服を剥かれている。
村のあちこちには、侵略者共の国のものと思われる、青地に金色の文様が入った旗が立てられている。
イラ立ちが募る。
無意識に口元から、チラチラと蒼炎が顔をのぞかせる。
どれだけ重厚な鎧であろうと、鍛え上げられた肉体であろうと、俺の前ではただのおもちゃ、いや、エサでしかない。
さて、殺すか。
尾を一振りした。
たった、それだけで。騎士の一団は吹き飛び、潰れ、ひしゃげ、地面に赤い花を咲かせた。
尾の一振りによって、戦端は開かれた。
指揮官らしき重装鎧の男が雄叫びをあげると、被害を免れた騎士たちが隊列を組んで斬りかかってくる。
魔術師たちもいるのか、前衛の後ろからは火の玉や氷の礫が飛んでくる。
しかしどれも有効打にはなり得ない。
俺はまとわりついてくる騎士共を叩き潰し、丸呑みにし、引き裂いた。
最後に残ったのは、指揮官の男だった。
巨大な斧を振りかざし、飛び上がった。
ほう、こんなことができる人族もいるのか。ま、関係ないがな。
フッ、と細く短く、ブレスを吐いただけで、男は塵一つ残さず消し飛んだ。
あの惨劇以降、俺はこの村を守ることにした。
その後も何度か討伐隊らしき人族の群れがやってきたが、そのことごとくを俺は殲滅した。
しばらくすると、ある日を境に人族の群れはぱったりとやってこなくなった。ようやく、この村に平和が訪れた。
少女は母と同じように、大人へと成長し、私はこの村の守り神として信仰されるようになった。
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