第1話 転生
初投稿作品です。どうぞよろしくお願いいたします。
幼い頃から体が弱く、外に出ることもままならなかった。
物心ついたときから、僕はクリーム色の壁紙の病室にいて、体はたくさんの管につながれていた。
医者によると、現代の科学では治療法が確立されていない、不治の病なのだそうだ。
不自由な体の僕に、両親は最大限の愛をそそいでくれた。
たくさんの本や漫画を買ってくれたし、たまにだけれど、ケーキなんかも買ってくれた。けれど、僕が欲しかったのは、ゲームでも漫画でも、甘い洋菓子でもなく、青い空の下で走り回ることができる、自由だった。
外に出ることもできない僕は、様々な本を読みあさった。
特に興味を惹かれたのは、ファンタジー小説だった。
中でも竜という存在に大きな憧れを抱いた。強靱な肉体、知性を宿した美しい瞳、そして、大空を翔る大きな翼。
もし生まれ変わることができたなら、僕は竜になりたい。竜になって、大空を翔け、その強靱な肉体と力を持ってして、真の自由を謳歌してやるのだ。
その日は唐突に、そして想像していたよりも早くやってきた。
僕のまわりで多くの大人たちが慌ただしくしている。ピーピーと何かを示している機械の音が、嫌に鮮明に聞こえる。
誰かが僕の手を握っている。お父さん?お母さん?きっとそうだ。
ぼんやりとした視界の中で、必死に僕の名前を呼んでいる。猛烈な眠気が襲ってきて、意識がもうろうとしてくる。
そうか、僕は今日、死ぬんだ。最期に見た景色は、ガラス越しの曇った空だった。
遠くに光が見えた。
神様は最初に、「光あれ」と言って世界を創造したらしいけど、こんな感じだったんだろうか。
闇の中にポツンと浮かぶ光は、徐々に大きくなる。大きくなって大きくなって、視界一面が光に包まれて—。
ピーピーと、何かが鳴くような音がする。機械の音じゃない。なんだろう?
不思議に思っていると、生暖かいぬるぬるしたものが僕の全身をなで上げた。
なんだ!?何が起こっているんだ!?
だんだんと目と耳が慣れてくると、目の前には、大きな顔があった。それも、人間の顔ではない。《《は虫類》》だ。巨大なは虫類が、僕をじっと見つめていた。
呆然としていると、すぐ横からピーピーという音が聞こえてきた。そちらを見やると、白い卵から頭を出した、僕と同じくらいの大きさのは虫類がいた。
僕と同じくらい?そう思って自分の体を見てみると、同じくうろこに覆われた、は虫類のような体が目に入った。一体何が起きているんだ…?確か僕は、病室にいて、生死の境をさまよっていたはず…。
困惑していると、突然巨大なは虫類に体を舐めあげられた。
びっくりして見上げると、大きな黄金色の目と、目が合ってしまった。ああ、僕は、この目を知っている。大きく美しい、知性を宿した瞳。僕を食べようなんて、みじんも考えていないことが分かる。
それに、どこか優しい表情をしている。
そして、力強く強靱そうな、肉体。
そしてなにより、僕たちをつつむように広げられた、大きな翼。
そうか、僕は生まれ変わったんだ。一匹の、《《竜として。》》
小さな子竜と、巨大な母竜の、歓喜の雄叫びが、どこまでも高く、青い空に響き渡った。
現在カクヨム様で新作長編を連載中です。
読んでいただけると嬉しいです。
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