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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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盤外編

オレは記憶の海、オレの世界、オレ自身のアカシックレコードの中で、知らない少女がいた。そして、オレはついに見つけ出した。オレはこの記憶の片隅でそのUnknownを追い詰めた。そう、オレはこの記憶の袋小路へとその少女を追い詰めてその正体を暴こうとしていた。しかし、それは罠だった。オレが彼女の背後に近づいた瞬間、このオレの右腕をその少女は掴んだ。どうして、オレに触れることができるッ!そのオレの戸惑いを振り払ってその少女は言い放った。「見つけた。」その時、今のオレの背後で音がした。

ガシャーンッ!

吹きすさぶ力の線、それは壁を貫いた。瓦礫が宙を舞い、壁には風穴が開き、衝撃が地面を這う地響きへと変わった。その力の線は目の前にいる一人の男を狙う。その男は困惑をその顔に浮かべていた。「どうして、お前がその能力を使えるッ!」目の前にいる少女はその問いかけに微笑みを返した。

彼女の周りが底なしの暗闇へと沈む。その暗闇は彼女の影の様だった。その影から、顕現せし力の線<ライン・フォース>。その線はその男へと向かう。その速度は凄まじく、あたりの空気をその勢いが切断した。

「チッ!」その男は必至の形相で走り、近くの建物へと入り身を隠す。しかし、彼は知っていた。こんなことでこの能力から逃れられるわけがないってことに!

その瞬間、轟くのは何かがぶつかる音。そしてその刹那、建物の彼のいる階から上の階層全体が蒸発した。彼は頭上を見上げる。そこには晴天。雲一つない快晴。そしてそのブルースクリーンの中心で微笑みを浮かべる少女。彼女の中心に黒く染まっていた影がこの空へと侵食していく。「やあ。臆病者!お前はずっと囚われている馬鹿だから、こちらから来てやったよッ!さあ、審判の刻だッ!お前はここで死ぬ運命だよッ!ここが終わり、そう、ここがお前の末路、それは今までの罪の報い(reverse)なんだよッ!」彼女はずっとこの時を待っていた。そう、彼女はずっと彼を探していたんだ。この記憶の海の中で...

「死んでたまるかッ!」彼女に見下された男は懐から一冊の本を取り出した。少女はその姿を呆れながら、どこか諦めながらため息をつく。「はぁ~。あなたはここにきてまだ諦めきれないんだ。」その男は祝詞を唱える。彼の持っていた本が空中で浮遊し、彼の目の前で開かれる。「刻め!捻じれて消えた秒針よ!そして告げよ!我が神よ!この世界で最も尊大で、この世界で最も罪深き存在よ!この世界の本来の主は、この世界の意味はなんだッ!」空間がうねり渦を成す。その渦は空間にひびを生みだした。そのひびから純然たる白銀の光が溢れ出す。目の前の少女はその様を見て笑っていた。「そうか、これも運命か。始まりと終わりが同じなんてね。」

「そうだ!この貶められた世界に救済という名の死を!そして取り戻そうかつての聖域を!そしてッ!時間を空間をわが手に集め、この悪魔もろともこの世界を断罪してくれるッ!」彼は神力<タイム・スパイラル>を展開した!その瞬間、彼の目の前の本から溢れ出したのは消失したはずの時間。その時間は世界に根差していた”今”を洗い流す。その刻に干渉された彼らは口から純白に染まった狂おしい罪にまみれた垢黒い液体を吐き出して死んでいく。彼らは腐り、まるでもうずっと前には死んでいたかのようなありさまだった。そして、物質は一瞬で風化し、砂状へと変わる。それが大地を白く染め上げる。これが白昼の刻、その始まり。世界はかねてよりプログラムされた運命への収束を前触れもなくこの瞬間で強制された。

その様を見てやれやれと首を傾げるのは目の前の少女。しかし、彼女の瞳にあった力強い眼差しがこの愚かしい無慈悲な滅びを真っすぐ見据えていた。彼女はその手に心臓を掲げ、それを彼女の頭上で握りつぶした。どこかで断末魔が響き渡る。その瞬間、彼女の右手に現れたのは一本のナイフ、白銀のアセイミーナイフ。その光を見てその男はすべてを悟った。「神を騙り、悪魔へと堕ちたかッ!セプターッ!」「フフフ。俺はこの時のために彼女の運命に相乗りしたんだ。お前のその無様な顔を見るためになッ!」彼女はすべてを開放した。彼女の本能は己の魂を今に刻み、その鼓動が彼の世界を侵食していった。それは世界からの開放、その証明だった。世界が彼女の残像を追い求め、彼女の姿が世界を天国とへと導く。そう、彼女は覚醒した。穢れのない、この世界で地獄の門を通り抜けることのできる天使。原初の神、その真の姿へと。

彼女は自身の能力「開44」「セクト」「ファーシフト」の権能を身体全体に覆いつくし戦闘態勢をとった。

神々の黄昏、これはその再来だった。世界の中心で時間が感情がげんざいが過去が未来が、そして意味が収束した。そして、その刹那収束したその一点に圧縮された光が爆発した。その光が世界を覆いつくしていく。そう、その光はこの罪で溢れた今からの逃避、原罪を浄化する光。その光に浄化され、この世界は消滅を迎える。「新世界が産声を上げる。希望も絶望もない運命の渦に巻き込まれた世界がッ!」

~~~

我々は観測者。タイムマシンの存在証明はなされた。それによって我々はこの世界が運命に仕組まれて繰り返され続けていることを知ってしまった。我々の絶滅と新生。その繰り返しが歴史だった。そう、この運命を前にして今まで私たちが感じていた時間に対する神秘性は完全に失われてしまった。我々はこの運命のループから開放されるために、かつての救済を追い求め、そのために時間を支配し、かつての我々が行っていたように過去を夢に、今を理想へと昇華して、我々の目指す未来を手繰り寄せこの手に掴み続けてきたのだった。

読んでくださってありがとうございます。

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