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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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第六章 夜見 (前編)

 私(﨑野夜見)はタリスマンとともに牢獄から出て出口を探していた。もちろん私はここがどこなのかを探ることに力を入れていた。しかし、牢屋から出てからというものこの場所を調べる手掛かりというものは一切ない。タリスマンは言った。「おい、そんな床ばかり見て何を探してるんだ。」「あなたには関係ない」私はめんどくさいようにそう言った。「俺を信じれないのはわかるけど隠し事するのは無しだぜ。」「わかった。」私は適当に返事をした。私はいまだに彼のことを信じることができずにいた。そういう雰囲気を彼はもともと持って生まれきたような気さえしてくる。彼を注意しながら私たちは出口に向かって歩を進めるのだった。

 牢屋から出た後は何もない一本道だった。私たちが適度に軽口をしながら歩いていると通路の先が二手に分かれていた。私たちはどうするか話し合った。「なあ。ここは二手に分かれねぇか?そうすれば出口の見つかる確率も上がると思うぜ。」私は彼の提案に表立って賛成することができなかった。彼から目を話すことに何か言いようのない不安を感じたからだ。「わかったわ。じゃあこれ持っといてくれる。」そういって私が渡したのは簡易版アミュレットだ。これを持っている人の居場所、しゃべっている声を聴くことができる。そしていざというときはこのアミュレットにワープすることができる。しかし、このアミュレットではアミュレット先の映像を見ることができない。そしてタイムマシン等で時間を超えてしまうなどの概念的隔たりが生じてしまうとこれはただの塵芥と成り果ててしまう。「なんだ。お守りか?夜見、疑っているようで案外俺のこと心配してくれていたのか。フフフ」彼は気持ち悪い笑いをした後、それを左耳に括り付けた。「なんでお守りをそんなところにつけるの?」私は聞くとその男は言った。「いやなんとなく。」やっぱりこの男信用できない。そう思った私は彼と二手に別れた後、逐一彼の動きを見ていた。彼は私と別れた後から何か歌を口ずさんでいた。私はその歌をどこかで聞いたことがあるような気がした。「Oh~ I believe yesterday~. 」とてもノリノリで緊張感を感じられない。一様、私たちは何者かによって牢屋に入れられてしまっていたのだ。あの男の場合記憶も失っているらしいのでもっと焦ってもいいと私は悪態をついた。いけない。私には、私の能力には同胞の命がかかっているといっても過言ではないのだ。私は今一度思い直し、自身のやるべきことに集中することにした。

 私が進んだ先には部屋があった。部屋に入る前に聞き耳を立てた。物音ひとつしない。私は思い切ってドアを開けた。そこには簡易的な机とコップ。古めかしい新聞があった。机には埃が積もっておりコップもカピカピだった。そして古めかしい新聞には月面の石についての研究結果という見出しで始まる記事があった。その記事の概要は以下の通りだった。

 アポロ11号によって月面から持ち帰った月の石の解析によって衝撃の事実が発覚した。その石には普通では考えられないほどにCaカルシウムの成分が多く検出された。もしかすると月は太古の巨大生物の体の一部なのかもしれない。

「なんだこれ。」私は呆れてつい声が出てしまった。オカルト新聞のようだ。意味ありげにおいてあったのを見るに重要なことが書いてあると期待した私の気持ちを返して欲しかった。落胆しつつも新聞を読み続ける私。するとタリスマンのほうから変な声が聞こえてくることに気づいた。「私…土…今日…堕…」ごにょごにょと話している。雑音交じりでよく分からない。タリスマンは歌をノリノリに口ずさんでいて気づいた様子はない。私は何か言いようのない気持ち悪さを感じていた。私の方の道はどのみちこの部屋で行き止まりだったので私はタリスマンが進んだ方の道へ向かった。しばらくたってタリスマンが道の先で座っているのが見えた。彼は私を見ると笑って道の先を指さした。そこには上へとつながる階段があった。私はそれが出口だと直感で理解した。タリスマンはここから出れそうだとでも言いたげな顔だ。私は階段を上り始めた。私は階段を登りながら彼にさっきのアミュレットから聞こえていた謎の声について話してみた。タリスマンはなんだそれ半分盗聴されて恥ずかし半分みたいな顔をしていた。私は私の仲間に渡す感じで彼にアミュレットを渡していたため彼にこれを説明するのを忘れていた。「ごめんなさい。」私は謝った。彼は何か考えているような顔をしていた。階段を登り終えるとそこには扉があった。私たちはその扉を開いた。そこは一面の銀世界だった。あたりはこの建物以外何もない。私は地面に積もっている雪に触れてみた。触れると雪はねばついていた。しかしその雪を掬ってみるとそれは砂のようにさらさらしていた。私は思わず後ずさった。これは…。私はタリスマンを見た。タリスマンは頭を押さえている。彼はいつの間にか剣と秤を持っていた。「思い出しちまった。ごめんな。我が主のためにもこうするしかないんだ。」はじめ彼は悲しそうな顔をしていたが、話し終えた彼の顔は真顔だった。彼の秤が左右に触れる。空間がうねり彼を中心に渦をなす。その渦は感情を伴って私の心に流れ込んできた。それは達観、または諦め。そしてそれを上回るほどの殺意。私は仲間のためにもせっかく手に入れた自由のためにも、こんなどこかもわからないようなところで死ぬわけにはいかない。そんな決意を胸に私は戦闘態勢をとった。頭上には曇天が広がっている。

 続く

読んでくださってありがとうございます。


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