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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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第(3・10)章 聖戦 

「どうしてこんなにもうまくいくのだろう。彼女をたぶらかして、あの邪魔者を排除して、そしてあの忌まわしく、そしておぞましい記憶はあの場所に、そう約束の場所にある。フフフ。」どこかに誰かの笑い声が響いた。

~~~~~~~

彼らは円卓を囲んで座り、俯いていた。辺りには重い沈黙が漂っていた。

アトロは言った。「なあ、イブ。知っているだろ?あの儀式を起こすには天使(聖遺物)が全員そろっていなければならないことはッ!」その非難の声にイブは黙っていることしかできない。

ウノは言った。「もうよいッ!臆病者が今も我らを見ている可能性がある以上、互いにいがみ合っている余裕などないのだ!」その声にアトロは苦々しい顔を浮かべたが、次の瞬間にはやれやれと言った顔をして彼の椅子に腰かけた。

「それで、イブ。ナイフは落ちたんだよな?」「ええ、私が彼女の聖遺物を奪った後、彼女は私の目の前で飛び降りたわ。てっきり私はあのプライドの高い彼女の今わの際に見せた矜持なんだと思っていたけれど。そもそも、彼が彼女に倒されていただなんて信じられないんだけど?」その声にうなずくアトロ。「確かにな、あいつの能力はどちらかというと傍聴だもんな。」「だがアトロ、お前は見たんだろ?」ウノが訊ねる。「ああ、見たよ。いや向こうから見せてきたが正しいな。」

~~~~~~~~

神々の黄昏からどれくらいたっただろうか?結局、神々は儀式を成し遂げることができずに死んでいった。残された天使たちは神々から使命という名の生を与えられた。それは救済。

天使、それは神が残した手段にすぎない。そこには意思もないただの道具としての本質があった。

儀式、それは神が残した救済。しかし、その方式は神ごとに異なっていた。七つの方式、七つの手段。

彼らは話し合っていた。ウノ「争うことは意味を持たない。その証明はなされた。」サー「そうだね。無駄なことはもう止めにしましょうね。」ゼクスはうなずく。アトロ「でも、俺たちの存在意義は神から与えられたこの使命を叶えることだ。その使命が反発する以上、争うことは必至だと思うが?」イブ「そうだよ。私たちの存在を否定するつもり?」彼らの話し合いは全く進まない。その時、ずっと黙っていた一人の天使がおもむろに口を開く。ドゥクス「私にいい考えがあるわ。」全員の視線が彼女に集まる。

ドゥクス「私たちも殺しあうのよ。」ウノ「それは同じことを繰り返し、無駄なことになるという結論は出た。その結論が出てもなお、争いを選ぶか?」ドゥクス「フフフ。あなたは神にでもなったつもり?馬鹿なんじゃないの?」「何が言いたいッ!」「言いたいことは単純。殺しあいましょう。そして奪い合いましょう。私たちの存在証明、その証、聖遺物を!」彼女の言葉を聞いて笑い出す一人の天使”セプター”。「フフフ。珍しい。プライドの塊のお前がそんな提案をするなんて。」ドゥクス「勘違いしないで。私はこの無益な話し合いに辟易していただけよ。」天使たちの間に沈黙が流れる。彼らはしばらく考えていたが、この提案はとても魅力的だった。イブ「いいじゃん。それ!」アトロ「話し合いで決めるよりも納得できるやり方だよ。これはッ!」ゼクスはうなずく。サー「まあ、この話し合いも考えてみれば無駄だったしね。」ウノ「結局、こうなるのか。我らは。」ウノは彼らを見てやれやれとため息をついた。

これが天使が互いの使命、その存亡をかけた聖戦、その始まりだった。

~~~~~~~~~

アトロ、ドゥクス、ゼクスとの間で協力関係が結ばれた。彼らの与えられた儀式の方式には互いに似ている点が多かったために分かり合うことができていた。

アトロ「チッ!ゼクス来るぞ!」ゼクスは彼の持つ聖杯を掲げた。輝きとともに目の前に大きな盾が顕現した。その盾に伝わる大きな衝撃。その盾へと猛攻を続ける天使”セプター”。彼は右手にナイフを持ち、その盾を傷つけていく。アトロ「破壊の大盾で破壊できないイレギュラーがッ!」アトロはその手に緑の本を握りしめ、祝詞を唱える。その瞬間、セプターを取り囲むように光で包まれた茨状の槍が七本顕現した。「くらえッ!」しかし、彼は飛び上がり、背後から来た槍をよけて、空中で旋回しその槍の軌道へと先回りした。そして次の瞬間、アトロの槍はめった刺しにされた。「ぐあぁぁぁ!」槍の攻撃がフィードバックして、彼の持つ書物がナイフでズタズタにされた。聖遺物がズタズタにされ、アトロは戦闘が困難なほどにまで追い込まれる。アトロはゼクスの背後で横たわり悔しさに言葉を震わせることしかできない。「畜生ッ!」

アトロの姿を見て覚悟を決めるゼクス。彼は小さく祝詞を唱え始めた。「尊いもの。それは生。すべての希望と絶望がそこにはある。卑しいもの。それは死。それは運命、唾棄すべき破滅だ。」彼の目の前に展開した大盾に模られた豹のレリーフに光が宿る。「俺は今、お前の破滅をもって告げる。刻み告げられた運命、その成就を!そうだ、この命を贄にしてこの戦いに終止符をッ!」その時、盾に描かれた豹の顔面が動き出した気がした。

「待って!」その時、ゼクスを止めたのは天使"ドゥクス”。彼女はゼクスの背後から近づき、彼を眠らせた。その様を見てセプターは首を傾げる。「どういうことだ?お前たちは仲間だったのではないのか?」「仲間だからこそよ!」彼女の言葉を呑み込んだ彼は笑い出す。「フフフ。もしかして、そういうことか?馬鹿かよ、お前ッ!」「フッ。笑ってられるのも今のうちだよッ!」「戦いを邪魔されてしまったがこれはこれで興が乗ってきた!いいだろう。やれるもんならやってみろッ!」「フフフ。目にもの見せてくれるッ!」

~~~~~~~~~

俺は目を覚ます。目の前には彼女”ドゥクス”の姿が。「ゼクスは?」彼女の目線の先にはゼクスが寝息を立てている、そんな姿があった。「どういうことだ?」俺は混乱する。その混乱に応えるかのように彼女は懐から何かを取り出した。それは輝きを失ったあのナイフだった。

続く

読んでくださってありがとうございます。

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