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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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第23章 森の中 そして どこか崩れた街並み

ここは知らない森だった。森は草木が生い茂り、じめじめとした空気と雰囲気を纏っていた。私はどうしてここにいるのかわからなかった。私は昨日の記憶を呼び起こす。私は確かに自室のベットに横になりいつものように朝になるのを待っていたはずだった。そう、いつものようにベットの上で横になって...あれ?そこからの記憶がどうにも曖昧だ。何か大事なことを忘れているような。そう、私の記憶に致命的な欠落があるような、その感覚が私の心を絞めつける。「どこだよ。ここは...!」私の目覚めた時の超然とした態度はたちどころに消え去った。私の()への狼狽が声になって洩れる。その声はこの空間に馴染むことなんて出来ないで意味のないノイズへと成り果てた。私は周囲を見渡す。周囲には鬱蒼とした森がずっと向こうまで続いていた。そして私の目の前には一つの自転車があった。その自転車は大破していた。ボディには円形状の穴のようなものが開いており、タイヤはひしゃげていた。私はその自転車を見て、既視感を感じていた。この自転車、どこかで見たことがあるような。その瞬間、頭が痛くなる。聞こえてくるモスキート音。私は頭を抱えてその場でうずくまってしまった。

~~~~~~~

ある日、私は探し物のためにリサイクルショップに来ていた。そのリサイクルショップは私の住んでいるこの町”参峰町"で一番大きい店だった。そこで、私は何かを探していた。だけど、どうしてだろう。今の私はかつての私が探していたその何かを思い出すことができなかった。確か、それは私にとっていや私たちにとって必要不可欠な物だった。私たち?不意に生まれた言葉。その言葉が私の記憶、その周辺でうずくまっていた”何か”を呼び起こしてしまった。

~~~~~~~

「探し物はこれだろ?」その男、”タリスマン”は目の前でそれを見せる。「どうして、どうしてそれをお前が持っているんだッ!」私のそんな叫び。しかし、その言葉は無意味な残響へと成り果てる。彼の手にはアミュレットが握られていた。「どうしてって?フフフ。そんなことを言ってくれるなよ、夜見!これはもともと俺のために作ってくれたものじゃないか。」そう言って彼は笑う。そして彼はそのアミュレットを地面に落とした。そして彼はそれを右足で踏みつける。彼女の目の前で。彼女は顔を怒りで染めながらそのアミュレットを取り戻すために彼へと向かい這う。

~~~~~~~

私はいまだ自身の能力で身体全体を覆っていた。彼の攻撃は防ぎようがない。しかし、痛みの感覚を遅らせることはできる。アミュレットに触れることができたなら私はこの場から逃げることだって!私は最期の力を振り絞った。今までだって私は、いや私たちは諦めるわけにも、逃げるわけにもいかなかったから。一本の剣が脇腹に突き刺さる。だけど間に合った。私はこの痛みが来るよりも先にこのアミュレットに触れる。しかし、私は気づいた。これは...

~~~~~~~

次の瞬間、アミュレットが剣の姿を取り戻す。彼女の首筋にその剣が深く突き刺さる。血が溢れ止まらない。彼女は薄れゆく意識の中でその男を見る。そこには弐趾原がいた。「残念ながら運命(チェックメイト)だ。悪いな。夜見。俺は思い出しちまった、理想郷も絶望も使命もすべて。そう、これは最期の希望、すべてのやり直しだ。俺は復讐をしなければならない。もう俺たちは生きていてもしょうがないんだ。この世界で俺たちは幸せになんてなれないのだから。」彼女は歯を食いしばり、驚くような、それでいて悲しむようなそんな顔をしていた。弐趾原はわき腹に突き刺さっていたその剣を引き抜いた。その瞬間、その剣はアミュレットへと戻る。「賭けには勝った。あとは...」彼はそう言って彼女の首筋に突き刺さった剣を引き抜き彼女の胸に突き刺す。断末魔が響き渡る。彼はその叫びを背に去っていく。そこに血だまりだけを残して。

~~~~~~

私は起き上がる。いつの間にか気を失っていたようだ。私はあたりを見渡す。そこはさっきと同じ場所、森の中だった。この森には閉塞感が漂っていた。ここは外なのに、私の気分はトイレの個室にいるときの感覚だった。

私の視線の先にあったのは一本の道だった。その道は鬱蒼としたこの森を引き裂いていている傷のようだった。私はその道に心のどこかで惹かれていた。周りの無秩序な自然という名の混沌がこの道を”道”たらしめていた、だけど、その道は人工的でも作為的でもなかった。それはまるで最初から道であるために生まれていた、私はそんな風に感じていた。そう、そこには神秘さと畏怖があった。私はその道を歩き出す。”この道を歩きたい”という私の心に湧き上がってきた渇望に身を委ね、道の先という未知に私の知的好奇心を重ねて。

~~~~~~

道の先にあったものを見て私は戸惑ってしまった。そこには参峰町だったものがあった。間違えるはずがない、この景色、あのビル、リサイクルショップに私の家!そこは紛れもなくあの町だった。私は、私の家?を呆然と眺めていた。その家?は壁にひびのようなものができており、苔がむしていた。その様はまるで何年も前から放置されていたようだった。私は恐る恐るその家?の中に入る。その家の中は真っ白だった。天井、壁、床すべてが傷一つなく真っ白だった。私は外観と室内のギャップに気持ち悪さを覚えていた。

続く

読んでくださってありがとうございます。

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