第4章 夢の続き#1
光陰病院。私はその病院を聞いたことのある。その病院は通常の方法ではたどり着くことのできない病院といわれ場所すらもわからない。そういうネットの中の都市伝説のような存在であった。その実態は未知の病気を研究しているだったり、アラブの石油王などの要人を診察するためにプライバシーの確保が必要であるからだなどの憶測があるばかりでこの紹介状を見るまで私はその存在をただの笑い話のネタと考えていたのである。私(土井中条)は紹介状にあった場所につくと白衣を着た人物が待ってましたとばかりに現れた。そいつの名は時田といった。「こんにちは。吾輩は光陰病院所長の時田次郎と申します。本日は来ていただきありがとうございます。さあ立ち話もなんですからこの車に乗ってください。」私は車に乗り込む。車の中はとても落ちついており、気取ったような印象を受けた。この病院に立っていた噂はあながち間違ってはないのかもしれない。ただ、車の中が外から見た時よりも一回り大きいように感じてしまい言いようのない気持ちの悪さを感じた。この時の私は変な夢によって睡眠不足に陥っているせいだろうと思い自分をごまかした。車窓から外は変な細工がされておりうかがい知ることができない。ますます不安になる私の心境を見透かしたかのように時田は言う。「光陰病院の場所は一般の人が来てしまうことを防ぐために秘匿しなければならんのです。ご協力ください。」車で大体30分ほどたっただろうか。「お待たせいたしました。土井様。ここが光陰病院です。」外を見るとそこには外壁がボロボロで今にもつぶれて瓦礫の屑に成り果ててしまいそうな建築があった。私はある意味芸術的に感じた。周りにはほかに建物は見当たらなく木々に囲まれている。ほんのりとした磯臭さを感じる。海が近いのだろうか?時田の案内に連れられて私は中へ入る。中に入ると一面真っ白な壁と床と天井が私の目に飛び込んできた。壁や天井には傷一つなくとても清潔に保たれていることがうかがい知ることができた。私は真っ白すぎる院内の雰囲気にのまれ気持ちが悪くなっていた。外観との建築への力の入れ具合の温度差で風邪を引いてしまったのかもしれない。私は一つの個室に案内された。そこには白衣を着た中年の男がいた。そいつの名は港といった。「こんにちは。私の名は港と言います。あなたの担当医としてこれから治療していきます。よろしくお願いします。」そいつの第一印象は胡散臭いそれに尽きる。だらしない髭面、だらしない締まりのない口。そして、誰が聞いても明らかな話し方の不器用さ。まるで普段は人と話していないそんな雰囲気を出している。そう話し方節々に芝居がかった感じがあったのだ。
早速診察が始まった。診察といっても自身の症状、すなわち私を苦しめている夢の内容を話すことだった。夢の内容は話すだけでも苦痛だったがありありと記憶には残ってしまっているため夢の内容を忘れてしまっていることはなかった。最初に一番直近に見た夢を、出されたコーヒーを飲みながら話した。(第一章後編最後の段落参照)その夢を話した瞬間彼の顔色は青一色に染まる。「なるほど…確かにこれは大変な夢だ。苦しいでしょう。ちょうど私どもの開発した薬がこの症状に効果があるかもしれないので処方しますね。経過観察も見たいので今日は入院してください。」不快だ。彼の動揺たっぷりの震えた声は私の神経を逆なでた。「急に入院なんて困りますよ。」そう私が言うと彼の芝居はなくなって、彼は急に真顔になった。「だめです。今日は入院してください。入院しなければ薬を渡せませんよ。」どうやらこの施設も薬もきな臭いようだ。私はこの港という男によってほぼ無理やりに入院されることになった。薬に対する期待よりもこの病院への不安感のほうがでかくなった。だから私は薬を飲まないことに決めた。飲んだふりをしてやり過ごしつつこの病院についてもっと調べようと思ったのだ。そして私は病室に行き、寝たふりをしていた。病室の外で話し声が聞こえる。「ほんとにあいつが例の悪魔なんですか?」「あぁ。まさしくあの夢だ。我らが捜した悪魔がこんな簡単に見つかるなんてな。」悪魔。あの夢で軍人が話していた言葉だ。なるほどあいつらもあの軍人の仲間だったのか。私は病室の外へ殴り込みに行った。港は言った。「やっと正体を現したな。悪魔め。」「何が悪魔だ。そんなこと言うお前らが悪魔だろう。お前たちを根絶やしにしてこの夢に終止符を打ってくれる。」港は笑う。「今更、普通アピールか。あんな薬飲んどいてよく言えたものだな。」彼は狂ったように笑い始めた。私は私の持っていた包丁で彼をぐちゃぐちゃになるようにめった刺しにした。彼の笑いはどんどん大きくなっていった。私はその笑い声を聞きながらその病院を後にしたのだった。
第4章~完~
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