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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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第十四章 小麦粉と大豆と豚と油

 彼が最後にここの店に来たのを私は今でも昨日のことのように思い出す。「やってる?」彼は突然やってきた。「味噌ラーメン一杯。バター添えで。」この日は彼以外のお客さんは来なかった。私は彼に味噌ラーメンを出す。彼はラーメンを食べ始める。彼がラーメンを食べ始めてしばらくたって彼が急に話しだした。「ここのラーメンはいつもおいしいですね。」「お客さん、いつもありがとうございます。そう言ってもらえると店主冥利に尽きるってもんですよ。」私がそういうと彼は懐から何かを取り出した。それは何かの錠剤。その錠剤は真っ黒で飲む気が失せる色をしていた。「お客さん?これは…」私がそういうと彼は笑った。懐から警察手帳を取り出して。「とぼけないでいただきたい。もう大体調べはついているのですから。なあ。聖杯の店主、尺匙さん。あなた、この町で相次いでいる失踪事件はご存じですよね。もう10人ほどがこの町内で行方知れずになっている。そしてこの失踪事件には共通点がありましてね。失踪した人の家や最後に目撃情報があったところにはいつもこの錠剤が落ちているんですよ。だから私たちはこの錠剤の出所を血眼になって探したんですよね。」私はただただ黙っていた。彼は懐から一枚の写真を取り出す。そこには私と彼が写っている。「ここに写っているのはあなたで間違いないですね、尺匙さん。驚きましたよ。これはあなたが失踪事件の一番最初の被害者の港さんと一緒にいる写真です。それだけならまだ言い逃れができると思います。しかし、」私は黙っている。「この写真であなたは彼に手渡しているんですよ、この錠剤を。」彼はしてやったりみたいな顔をしている。「さあ、説明してもらいますよ。この錠剤について、そしてこの写真について。」

 ~~~~~~~~~

 私は店主に証拠を突き付ける。彼はずっと黙ってうつむいている。埒が明かない、そう思った私が彼をもっと追及しようとしたその時、おもむろにラーメン屋の扉が開いた。「すいません。今取り込み中でして。」私がそう言おうと扉の方に振り返るとそこには彼がいた。我々が探していた彼。「やあ。蒼汰。」彼は笑いかける。まるで久しぶりに会った友達かのように。私と彼は初対面のはずなのに。「えっと、港さんですよね?」「か~け~も~ち~!敬語なんてどうしたの。ため口でいいって言ったじゃん。」そう言い終わると彼はおもむろに指を鳴らした…

 ~~~~~~~~~

 私は彼にラーメンを振舞っていた。彼はカウンターで味噌ラーメンのバター添えの大盛をおいしそうに食べている。彼が食べ始めてからしばらくたって彼は話し出した。「今回は危なかったなぁ。”ゼクス”。もう少しで俺たちの計画が狂っちまうところだったね。」「もう大丈夫なのか。」「ああ、十分な信心と贄はそろいつつある。もう少しで彼が動きすべてが始まる。今回の事案で使ってしまった信心を差し引いてもまだ許容範囲内だ。」彼は余裕を見せるように私に笑いかけた。「わかるよ。お前の瞳にはすべてが無駄にうつるんだろうことは。俺たちのことも計画も滑稽に見えるんだろう。でも我らはどんなに滑稽だとしても諦めるわけにはいかない。フフフ。自分で言っててほんと俺たちの存在ってしょうがないな。」私はため息をついて持っていた緑のグラサンをかける。「お前のそういうところ本当に尊敬するよ。”ゼクス”。俺がお前の立場ならそう割り切るなんて無理だと思うから。」彼はそういうと席を立つ。彼はいつの間にか拉麺を食べ終えていた。彼はどこからかレジ袋を取り出す。「次に俺がここに来るまでこの荷物を預かっていてくれ。」その袋はずっしりとしていた。「この中身は見るな。次に俺がここに来た時、俺はたぶん記憶を失くしているだろうから。この袋の中身はその保険だ。」彼の瞳は私を真っすぐにとらえている。私は彼の瞳から目が離せなかった。「わかった。約束しよう。この袋の中身は見ないと。逆に訊こう。次にお前が来るときには私の約束が果たされるんだろうな。」「ああ。その時になったら俺はお前を開放すると約束しよう。」そう言って彼は持っている真っ黒な錠剤を飲み込んだ。彼を中心に黒い渦ができる。それは彼を覆いつくし引き裂いていく。気づけば渦とともに彼の姿は無くなっていた。カウンターには空になったどんぶりが一つ残されている。

 第十四章 完

 おまけ

 武器について

 ダガー 全長10から30㎝程度の諸刃の短剣。人体の急所を執拗に狙うためのもの。

 TM16 タイムマシン内臓M16。未来からの侵略者の標準装備。撃ったその刹那着弾する。

 包丁 ボロボロの年季の入ったもの。魚の臭いが染みついている。

 剣と秤 ウノの標準装備。 彼の力の源流の中継地点も兼ねている。

 炎の聖剣 イブの標準装備。彼女の力の源流の保管庫も兼ねている。

 羽根 トビウオが自身の翼から放つ羽根。鋼鉄のようなかたさと羽根本来のしなやかさを併せ持つ。


読んでくださってありがとうございます。

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