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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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第一章 世界消滅 (後編)

 僕、今生希代(こんじょうきたい)は目覚めるとあたり一面がビルで囲まれた場所だった。「う~ん。さんざんな目にあった。」タイムマシンの空中分解で仲間とはぐれてしまった。ここがどこで今が何年何月の何日かわからない。途方に暮れているとどこからか声がした。「あ~あ~。きこえてる?」この声は夜見だ。タイムマシンに乗る前に保険で渡されたアミュレットから響いてくる。「俺は聞こえているぜ。お~い。希代生きてるか?」この声は宇津野だ。一様全員無事らしい。「聞こえとるよ。こちらは無事だ。あたりには高層ビルが立ち並んでいる。」「俺の周りには雪と小さな納屋程度が見えるだけだぜ。ほかには何もないように見えるぜ。」「わたしゃどこか海の真ん中に浮かぶ孤島にいるみたいだ。対岸は見えない。」ひとまず全員の所在地を挙げてみたがバラバラだ。ひとまず全員の現在地と年代をそれぞれ調べることにした。それがわかれば夜見の能力で合流することが可能だからだ。ひとまず周りにいる人に今が何年でここがどこなのか聞いてみることにした。「すいません。ちょっとお時間いいですか。」聞いてみると今は1999年7月でここは東京であることがわかった。僕は目的の時間に到着することができたのだった。僕はその事実を知ったとき言いようのない不安を感じたのだった。

 今生希代(こんじょうきたい)のトランス能力「ランフォーマー」それは確率の変換。起こしたい事象に確率がかかわる際、その確率を知覚し任意に操作することができる。しかし任意に操作した確率分、後々の事象にペナルティが加わる。例えば、10パーセントで大吉が出るくじの確率を操作して100パーセントにした場合、その後くじをもう一度引いたとき90パーセントのデバフが働く。つまり、彼が心の底からもう一度大吉を引きたいと考えればこの場合90パーセントのうちの10パーセントを用いて確率の相殺が起き大吉は出ず、80パーセント分のデバフが残る。逆に大吉じゃないものを彼が心から引きたいと思うなら確率の相殺が生じ必ず大吉が出てこの時デバフは完全になくなるのである。しかし、彼は確率を操作した後、自身が確率の変換をどの程度行ったのかの記憶が無くなってしまう。また、自身に残るデバフを自覚できない。彼はタイムマシンが空中分解を起こす際、彼は自身と仲間の生存確率を100パーセントに操作していた。彼の映し出した彼らの生存確率はそれぞれ10パーセントにも満たなかったからだ。現在彼には約270パーセント分のデバフがかかっていた。しかし彼はそのことに気づくことができない。

 僕は夜見に自分の情報を伝えるために連絡を取ることにした。しかし、バッグの中に入れていアミュレットが見当たらない。そのほかにも財布などの貴重品が見当たらない。通りを見ると先ほど僕が道を聞いた人が全速力で走っている。手にあるものは僕の財布だ!何としても追いかけて何としてでも取り戻さなければならない。そうして僕は服に仕掛けられていた小型タイムマシン制御装置(TCS)を使い目にもとまらぬ速さで駆け出したのだった。

 俺は、宇津野潘(うつのはん)は目が覚めると雪国であった。タイムマシンが空中分解して時空の裂け目に振り落とされたっていうのに無傷な自分の体を不思議に思った。周りを見ると一つの納屋があるだけで遠くに山が見えるだけで後はだだっ広い雪原が広がっているだけであった。夜見と希代と話し合い大体の方針を決めた後、俺は納屋に向かうことにした。納屋は木造でカギはかかっていなかった。中に入ると干し草と木でできたバケツと柿が干してあるだけであった。もうずっと前から放置されている建物のように感じた。バケツに入っている水が凍っておりその表面に薄いほこりがついていた。俺は暖を取るためにもっていたライターで干し草に火をつけた。納屋が次第に暖かくなってきた。バケツの水は溶けた。俺は溶けた氷の中から何かが出てきたことに気づいた。それは手紙だった。俺はその手紙が水の中に入っていたにも関わらず濡れていなかったためこれはただの手紙ではないことを理解した。手紙にはシーリングスタンプがあり、開封していないことは一目でわかった。俺は手紙を開け差出人の名を見て息をのんだ。その手紙はトランス能力者が秘匿されるきっかけになった事件 ブラック・タイムの首謀者で時空の裂け目で消し飛んで死んだ俺のたった一人の親友 弐趾原天光(にしはらてんこ)から俺に宛てた手紙だったからだ。

 私は、﨑野夜見(さきのよみ)は孤島で何もできず立ち尽くしていた。「せっかく任務で外に出れて能力も使い放題だというのに。」私は悪態をついた。私たちは普段研究所内で自由に過ごしていた。研究所では外出することと許可のない能力の使用はできなかったため普段からそのような環境に辟易していた。私はトランス能力者が暴れたりなどの非常事態が起きて外に出る時間がもっと増えてくれることを望んでいた。だからこそこの任務は私にとって天国のようなものであった。任務に支障がなければ自由であったし、今までの任務にこんなことはなかったからだ。トランス能力には人の趣味嗜好が大きく反映される傾向が強いらしい。私の将来の夢は旅人だった。だからこそこのように夢をかなえることのできる能力のせいで自身の自由を手放してしまっている現状がとっても我慢ならなかったのだ。私はこの任務の達成をできる限り遅く、ごまかしてこの自由を長く謳歌できないか考えたものだった。しかし、タイムマシンの空中分解によってトランス能力の発動条件の一つである自分の居場所の自覚ができなくなり、私はこの孤島から出るすべを見失ってしまったのだった。ひとまず仲間からの連絡を待つことにした。しばらくすると希代から連絡がきた。「私の居場所が分かった。1999年6月場所は北海道だ。」「わかった。私孤島で何もないからあなたの方へ行くね。」「わかった。」私は自身の居場所を知覚していなかったが、アミュレットには私自身の髪の毛が編み込まれておりそれを触媒として移動することができた。私は自身の持つアミュレット一つをいけにえにして希代にいわれた座標に移動した。そこは木造の納屋であった。希代から聞いていたビル街などなかったのである。「希代?聞いていた話と違…」私が言い切る前に私の胸に激痛がはしり、気を失ってしまった。気づくと私は牢獄に閉じ込められていた。胸には銃創があったがもうすでにふさがっていた。私は長い間気を失っていたかのように感じられた。牢屋には私のほかにもう一人閉じ込められていた。「あんただれだ。」私は尋ねるとその男は言った。「さあな。俺はここに閉じ込められる前の記憶が抜けてしまってなぁ。そいつは俺が知りたいことだぜ。」信用できない男だと私は思った。彼の落ちくぼんだ瞳はすべてを吸い込むブラックホールを想起させた。ひとまず、この牢屋を出るまで協力することにした。

 私は、土井中条は目覚ましの音で起きた。外は相変わらず寒い。布団から出ずに暖房機器の電源を入れてうだうだ過ごしていた。布団と室内の温度が一定に感じるまで待ってから私は動き出した。一通りの準備を終えて駅に向かって自転車に乗り、駆けていく。今日は待ちに待った読んでいる小説家の新作小説が出る日だ。この日のために有給を取ったのだ。早く駅前の書店に行って今日で小説一周するぞとはやる気持ちを抑えて自転車のペダルを回す。しかし今日に限って駅前がなんだか騒がしい。「なんだ?」「軍事パレードか?」そんなような声が聞こえた気がした。何とか混雑を避けて書店へ着くと迷彩服を着た軍人がいた。彼らは私の買おうとしていた小説を押収していた。「何をしているんだ。」私は止めに入ったが、軍人の体術に軽くあしらわされてしまう。しかし、私はどうしてもあきらめることができない。私の中でそんな憎しみに近い感情があふれてきているのを感じた。軍人は「ついに見つけたぞ!悪魔め。」と叫んでいたがそんなことはどうでもよかった。私は何とかその小説を手に入れた。うずたかく積みあがった死体のうえで 私は夢中に小説を読んでいた。

 気づくと土井中条は目覚ましの音で起きていた。最近この夢ばかり見る。私は普段夢など見ない。見たとしても忘れてしまっている。しかし、これはまるで実際にあったように記憶として定着していた。この夢を見てから全然疲れが取れない。今日は有給を取って病院に行くことにした。

 第一章~完~

読んでくださってありがとうございます。

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