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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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第十章 暗黒の刻 後編

世界の崩壊が、世界に生じたひびが彼の渦に吸い込まれていった。天使は何が起こったのかわからない様子でただ眺めていた。突然、天使の一人が声を荒げる。「認めない。こんなこと、認められるわけがない。私たちの祝福が堕としめられようだなんて。」その天使は持っていた赤い剣を掲げる。赤い剣から炎が溢れる。「ああ、主よ。この身の程知らずの悪魔に死という名の運命をこの炎をもって刻め。」その剣からあふれ出た炎は渦を成し、眼下の敵に向かう。その炎が彼の首を捉えた時、その炎の動きが止まる。彼はその渦を見て笑う。「残念だったな。お前たちの渦はしょせん感情を付け加ええただけの手段にすぎない。そんなことはわかっているだろうに。」彼はそういい終わると何かを唱え始めた。それは祝詞と言うには穢れきっていて、呪文というにはあまりにも神秘的だった。俺はその言葉に吸い込まれてしまう感覚に陥った。彼女の放った渦は彼の瞳に呑まれた。「なんで。私の攻撃が…どうし」その瞬間彼女は口から黒い液体を吐き出し空から墜落する。その液体は彼女の来ていた白いローブを真っ黒に染め上げた。彼は渦に乗って天高く飛翔する。その姿はまさにロケット。彼は天使と同じ高みに至った。「フフフ。我らの契約がお前に邪魔されるとは面白い。」そう言ったのは剣杯持ちの天使。「私は契約の刻には興味がない。神は死んだ。私はそんなことも理解できないお前たちの行動が愚かで滑稽に思えてしょうがないよ。」「ああその通りだ。こんなことは無駄なだけだ。」彼に続いたのは緑の空の天使。「俺たちは待っていた。十分すぎるほどに。しかし主は還らず、俺たちは主の記憶をほとんど忘れてしまった。俺はこの契約の刻もすべて成り行きに任せようと思ったんだ。案の定俺たちはこの祝福も満足にできていない。我らを創った神の死の証明としてこれ以上のことがあるだろうか。」「黙れ。我らの今までを愚弄するには飽き足らず我が主をも貶めるか。そうか、お前だったのか。」緑の天使はうなずくばかりだった。彼はその天使を持っていたダガーでぐちゃぐちゃになるようにめった刺しにした。顔から黒い液体が溢れ、白いローブを穢しその天使は墜落する。微笑みを称えながら。剣杯を持つ天使は憎々し気に言う。「裏切りものと出しゃばりは死んだ。だが愚かと言えば我らに喧嘩を売るお前こそ愚かだ。多勢に無勢。そんなことお前ならわかっているだろうに。」それを聞いた彼は笑う。「私は私自身の契約を履行するために来た。」彼がそういうと空間に二つの大穴ができその穴から完全武装した人間が溢れ出した。「多勢に無勢なのはあなたの方ですよ。”ウノ”。」穴からその剣杯を持つ天使を「ウノ」と呼んだ人物が現れた。「お前、死んだはずじゃ。」「残念だったな。あの言葉はあの時だけのものだったんだよ。」彼は引き連れた軍隊に指示を飛ばす。撃て。その刹那、天使の白いローブに風穴ができる。「吾輩はこの時を今か今かと待っていた。お前たちが自ずからその不死性を捨て一同に顕現するこの時を。」苦痛に悶える天使たち。銃弾が体に着弾したことに気づけなかったことに戸惑っていた天使たちに弐趾原はナイフを突き立てていく。彼らは一人一人墜落していく。最後に残ったのは剣杯を持つ天使。「黙れぇ。臆病者の生き残りに使えてただけの分際で。」「我が神を愚弄するか。残念だよウノ。まあそれでこそ復讐のし甲斐があるというものよ。」弐趾原は持っていた剣をそいつに刺そうと近づいていた。その時、彼が頭を押さえ苦しみだす。「なんで、時田。お前がここにいるんだ。」彼の片目がもとの色を取り戻す。

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「おい。土井?」土井?何を言っているんだ?私は弐趾原だ。「質問に答えろ。どうしてお前がここにいるんだ。ここにいるってことはつまりそうか。お前だったのか。私たちトランス能力者を時空の狭間に幽閉したのは。」「おい。土井。冗談を言うのはよせ。我らの計画はこいつをナイフで刺せば終わるんだ。速く終止符を打て。」そうか。すべての事象が(タイムマシン、私たちの存在、我らの計画、謎の声)つながった。私の心に殺意が渦巻く。その憎悪は目の前の男、そして今も左耳から語り掛けていく声に向く。「黙れ。俺は弐趾原だ。」私は持っていたダガーで自身の左耳を切り落とし、そのナイフを時田に投げつける。その刹那、時田は私の後ろにいた。「どうしてお前が生き返ったのかわからないが、この状況でお前に何ができるというんだ。」彼は腕を掲げる。その刹那、私はハチの巣になった。「お前のような中途半端な奴はこれだから困る。お前は力の器としての役割を全うしていればよかったのに。ほんともったいないわい。」時田は悪びれず言う。彼は周りを見渡して言った。「ちょうど近くにトランス能力者がいるじゃないか。計画の修正は許容範囲の様だな。」彼の視線の先には夜見を能力で助けようとしている宇津野の姿があった。それは、それだけはだめだ。私は最後の力を振り絞った。ここで初めて私に産まれた。たとえ死ぬことになったとしても決して諦めず、逃げないそんな覚悟が。私は自分のトランス能力「エスタスティック」の権能を一点に集中させた。「フフフ。お前のトランス能力を吾輩が知らないとでも思ったのか。お前の能力は外見を自由自在に変えるだけの能力。逃げるつもりなんだろうが逃がさんよ。我が計画の邪魔をしたことを後悔するがいい。」時田は自身の神力「タイム・スパイラル」を発動。空間がうねり渦をなす。その渦は感情を伴って私の心に流れ込んできた。しかし私の覚悟はもう誰にも邪魔することなんてできない。「なぜだ。なぜ力が通じぬ。トランス能力者の力の源流は自身の精神にある感情の動きだっていうのに。まさかこれは別の…」最期に彼女の儚げな横顔が瞼の裏に浮かんだ。

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限界まで圧縮した力は臨界を超えた瞬間爆発した。その爆発は闇となって世界を覆いつくした。これはのちにブラック・タイムと呼ばれるようになった。

第十章 完

読んでくださってありがとうございます。

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