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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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第十章 暗黒の刻 前編

宇津野~~~~~~~

俺はとある3人と親しくなった。「よう。宇津野、今日も髪型決まってるな。毎日かっこつけやがって。」そう言うのは今生希代。「そういうお前だってまた新しい指輪つけてんじゃん。また賭け事か?」「あはは。正解!」希代は流行っている何でもありの賭け事に夢中だ。まあこの閉鎖空間でできることが限られているし現実から目を背けたい気持ちはわかるので俺は何も言わない。「ちょっと希代。またギャンブル?いい加減にしなさいよ。」そういうのは﨑野夜見。彼女は占いまがいのことを行っていたが彼女の売り上げは鳴かず飛ばずだ。「お前も金ないんだろ?占いなんて誰も信じないぜ。」「何さ。能力でズルしてるくせに。」「言ってくれるじゃないか。これが負け惜しみですか。ハイハイ。」「はい、そこまで。」そう仲裁したのは弐趾原天光だ。「喧嘩は良くないで。希代お前の能力は脅しにしては洒落にならないからすぐそうやって脅すのはやめろ。」「ハイハイ。わかりましたよ。ゴメンゴメン。」彼は人をイラつかせる天才だ。彼は謝りながら逃げる。「畜生。今度の今度は許せねぇ」夜見は追いかける。俺はこんな光景を眺めながらこんな日常がずっと続くだろうと思っていた。そう、あの時までは。

二趾原~~~~~~~

七つに割れる空。その空は赤、橙、黄色、緑、青、紫、白に染まる。それらの色が青空を完全に染め上げ調和をなし大きな円状の虹が架かる。そして異なる色の空を背にして7人が舞い降りてきた。彼らは4本の翼を携え白いローブを身にまとっている。そして彼らの後頭部にはエンジェルヘイローが顕現していた。剣と秤を持っている天使が口を開く。「我らは天使。原初の神の使者。契約の時は来たれり。我らは神との契約を履行し神の代理人として救済をもたらさん。」その言葉を大きな円状の虹の中心にあった割れ目が完全に崩壊した。そこからトビウオの軍勢が溢れ出す。それらはえらから天使の翼が生えた気持ちの悪い魚だ。彼らは何もない空間をおもむろに啄んでいる。そう餌を喰らうように。彼らが啄んだ空間にひびができる。そこからさらさらした砂が落ちる。それは雪のように冷たくそこに横たわっている。まるで死体のように。

私たちはその光景をただ茫然に見ていた。どうすればいいかわからなかったから。しかし夜見が動き出した。「夜見。何をするんだ?」宇津野が彼女に訊ねる。「決まっているでしょ。私たちがせっかく手に入れた自由が目の前に広がっているのよ。こんなわけわかんない時間(ところ)で死ぬわけにはいかないわ。そうでしょ?私たちはあきらめるわけにも逃げるわけにもいかなかった。だから私たちはここにいる。もしこれが運命なら本望だよね。」彼女はいたずらに笑って見せた。そして夜見は自身のトランス能力「ファーシフト」の権能を体全体に張り巡らした。そして宇津野の静止も聞かず疾走する。彼女は頭上でほほ笑む天使に目にもとまらぬ速さで近づく。邪魔する魚を振り払いながら。希代は自身を省みず彼女を自身のトランス能力「ランフォマー」の権能で覆いつくしていた。そのおかげで彼女はちょうどいいところにいたトビウオを足場にして空を駆け抜けることができた。希代の皮膚がただれていく。彼の能力のデバフが彼を覆いつくした。彼の顔は苦痛で染まる。「おい。だめだ。希代。死ぬぞ。」希代は苦痛に悶えつつもそう言った宇津野に笑いかけた。「まだだ。彼女があいつらに届くまではこのままでいい。あいつなら、夜見ならこの状況を打破できるって。そう思わないか。」彼の体には見たことのないような斑点ができ、見るも無残に成り果てていく。しかし彼の犠牲が彼女を天使に導いた。「フフフ。愚かな。人の分際で我らのところまで昇って来るとは。」天使たちはあざ笑う。「いいだろう。お前を倒すべき敵としてみなし断罪を言い渡す。」彼らは持っていた武器を天にかざした。空間がうねり渦をなす。その渦を伴って感情が流れ込む。それは祝福。いやな予感がした私は叫んでいた。「夜見。逃げろ。」と。彼女の耳に届くわけないのに。彼女は自身の権能でこの攻撃を受けようとしていた。しかし彼女を覆っていた権能はその感情とともに洗い流されてしまった。「なんで。どうして。」空間にひびが広がる。トビウオが渦に沿う形で空中を旋回する。天使は祝詞を唱え続けている。「契約の時をもって我ら神の代理人の御前においてこのものに万死と祝福を言い渡す。信仰の祈り~第一章~。」彼らが祝詞を言い終えた瞬間世界が音を出して崩れ落ち始めた。その光景はまさに地獄。けたたましく鳴り響くサイレン、誰かの絶叫、崩れていく高層ビル群。まるですべてがいつかは塵芥に成り果ててしまう運命という名の必然が今この瞬間目の前に差し迫ってきたようだ。天から夜見が墜落する。私は彼女に駆け寄った。彼女の体は何年にも前に死んでいるかのように腐食が進んでいた。私は目の前が真っ暗になった。

~~~~~~~~~~

「おい。聞こえているだろ。」「誰だ。」「そんなことはどうでもいいだろ。あんたこれでいいのか。何のためにここに来たんだ?」そいつの言葉は左耳から入ってくる。「私は夜見を幸せにしたかった。こんなはずじゃなかった。彼女の言う自由が眩しかったんだ。」その言葉は左耳から入ってくる。「でもあんたのせいで彼女は見殺しにされた。そうだろ。」「黙れ」「あんたはただのうのうと生きて彼女を死に導いたんだ。あんたは彼女と話さず彼女の言う自由に憧れるだけ憧れてそれを美化し続けたばかりに無知すぎたんだよ。あんたは無責任だ。自分でもそう思わないか?なあ」「だったら私はどうすればよかったんだ。これが全部私のせいと断じるなら教えてみろよ。お前」「じゃあ契約してよ。対価は記憶」「きおく?」「それさえ渡してくれればあんたの目の前に差し迫った運命をねじ伏せ、これまでの後悔を正当化し続けるための覚悟をくれてやるよ。」その言葉を聞いた俺は言った。「わかった。契約する。今までだって彼女のために私はすべてを捧げてきたんだ。夜見は私のすべて。俺はお前を彼女のために受け入れると誓おう。」その声はその言葉を聞いて笑った。

宇津野~~~~~~~~~~

夜見の変わり果てた姿を見て茫然とする弐趾原。俺は崩壊するこの世界と心中する覚悟を決めていた。すると夜見を抱きかかえていた彼が急に笑い出した。「こりゃぁ傑作だ。あんたの為すことはすべて彼女にとっては取るに足らないっていうのに。」彼は持っていた彼女を両手から離した。彼女は地面に転がる。「おい。お前何してるんだ。」俺は彼の瞳を見た。そこには深い深淵があった。「お前、弐趾原か?」「残念。私は土井だ。お前の知る二趾原は死んどるよ。」彼を中心に空間がうねり始めた。絶望の感情を添えて。

続く

読んでくださってありがとうございます。


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