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同期トハ。 一

「薫!!大丈夫!?」

「詩……と一年達。」

「薫先輩、大丈夫ですか?」

「嗚呼、大丈夫だ。すまんな、心配させて。」


幹部が自分の領地に帰り、平穏が取り戻された場所に人が集まった。皆怪我をした薫先輩を心配しているようで即話しかけていた。無論俺もなのだが。


「ふふ、すっかり愛されてるじゃないの薫。良かったわね」


班長の発した言葉に薫さんはみるみる顔を赤く染めていった。紅葉のあの綺麗な赤みたいな。


「なっ……う、うるさいです。」

「照れなくても良いのに。事実でしょう。」


そうして班長は薫先輩の頭を撫でていた。戦闘でぐしゃぐしゃになった髪が更にぐしゃぐしゃになって、最初に会った時とは全然違う髪型みたいになっていた。


「さて、薫。あなた怪我が酷いわね。詩、冬馬(とうま)を呼んでくれないかしら。」

「そう云うと思って既に呼んであります!」


気付いたら北原先輩の隣に小さな男の先輩が一人立っていた。青いマスクを着けている。小さくて何かちょっとかわいい。


「一年に紹介するね、内海冬馬(うつみとうま)。アタシと薫との同期!前線にはよくは出ないからもしかしたらあんまり見かけないかも知んない!」


礼をする内海先輩。どうやらあまり話さないらしい。

「ありがとう、詩。早速だけど冬馬、薫を中央病院まで連れて行ってくれないかしら?」


内海先輩は「承知」と云わんばかりの敬礼をした後、薫先輩を───軽々と持ち上げた。身長が恐らく150cmほどしかないであろう人が、だ。薫先輩は20cmぐらい内海先輩より高いだろうけど。なんだ、すごい、恐ろしい。内海先輩には逆らえない気がする。


「ちょ、ちょっと冬馬。俺は大丈夫だから、一人で歩いて行くから、な?だから下ろしてくれないか」

「……どうせ行かないでしょ」

「そんなこと無いぞ…?だから、頼むよ」

「ごねない。行くよ」

「う、はい…」


そのままこちらに向かって一礼して走って何処かへ向かっていった。嵐のようだった。

薫先輩、厳しそうだと思っていたが、同期の前ではそんな威厳が失われていたみたいだった。


「それにしても初日からこれなんて、一年生には申し訳ないわね。」

「ですねー…どうしますか?」

「今日はもう帰らせましょうか。今日中は来ないでしょうし。」

「はい、そうですね。みんな、今日はごめん!心配はいらないから、安心して帰りな!バッチ押して、『退席』をポチ!で

完了だからねー!」


そうして俺達は帰ることになった。退席ボタンを押したら制服に元通りとなった。不思議だ。

寮の場所は同じなので同じ道を並んで帰っていた、が。無言が続いていた。足音だけがやけに大きく聞こえていた。ここには六人もいると云うのに何も会話が生まれていない──そんなことあっても良いのだろうか。


「あの~ちょっと良かですか?」


一人の少女が急に声を上げる。思わず立ち止まってしまった。


「折角早よ終わったけん、親交会したいなぁって思っとってん、」

「ちょっとあたしについてきてくれん?」


……一体どうなるのだろうか。




ーーーーーーー





「班長、それにしてもナイスタイミングでしたよね~!隊長に呼び出されてたんじゃ?」

「丁度用件が終わったところだったし、あなたが応援要請だしてくれましたからね。それに、“アレ”もありますから」


そうして雨森が空に指を指すと北原は口を大きく開けた。


「ちょっと班長!?また“コーキくん”空に置いてけぼりじゃないですか!!何度も注意しましたよね!?」

「あら、そうだったかしら。」

「もー、早めに戻しておいて下さいよね!」

「分かってるわよ。」


“コーキくん”とは。人の名前なのではない。御伽戦争学園にあるちょっと可笑しな武器の一つ。見た目はほとんどスケボー。しかし普通のものとは違う所が空を飛ぶというものだ。BLUEでは班長のみ使用を許されている。


「にしても、同期って良いですよね。」

「本当に、ですね。」


雨森は目を閉じて賑やかに笑い合う北原達を思いだし、静かに笑った。

赤と青の旗が、爽やかな風に揺れた。

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