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プレゼント 一

「やっほ~清水くん!」

「こ、こんばんわ……」

「東さんと和泉さん…どうしたの?」


放課後の訓練後。いつもの訓練室で相変わらずぼろぼろになって床に伏しているときに、二人が来た。薫先輩はそのときに静かに部屋の外に出ていった。

寝っ転がってたの見られたのが恥ずかしいと思いつつ立ち上がる。


「えっと、数Ⅰの教科書のお返しと、お礼で……私のお気に入りの所のものですけど、クッキーです。嫌じゃなければ……」

「否うれしいよ、ありがとう…!」


深々と礼をされながら差し出されたそれを受けとる。クッキーは熊の形をしていてとても美味しそうなものだった。

こんな俺でも甘いものは大好きだ。ましてやクッキーも勿論大好きだ。疲れたときにはよく食べている。

今日の夜、勉強した後に食べようと考え事をしていたら顔にでていたみたいで和泉さんにつつかれた。


「なんだぁ清水くん、随分とかわいいお顔やねぇ……?」

「うるさいです」


なんて云い合いをしていたら東さんに笑われた。今さっきまで生まれたての小鹿みたいに震えていたのにそんな姿を忘れるぐらいに笑っていた。


「和花ばりかわいかね~」


気付いたら云い合いは終わっていた。二人とも笑っている東を眺めていた。


「おい、飛鳥と和泉。」

「薫先輩?」


部屋に帰ってきた薫先輩が俺達に声をかけてきた。部屋を出ていく時よりもなんだか死んだ目をしている……面倒な仕事を押し付けられたみたいだ。声にもちょっと圧を感じるものだから少しだけ後退りしてしまった。


「上から通達がきた。お前ら二人にプレゼントがあるらしい。」

「「プレゼント?」」


何だと思えばプレゼント。怒られるわけじゃなかったから安心して肩に入った力が抜けた。

薫先輩はさらに面倒そうな顔をして云った。


「明日放課後すぐにお前らの教室に迎えに行くから待っとけ。はい、解散」


手を叩いて部屋に響く程大きな音を立て、その後颯爽と元の場所に帰っていった。多分プレゼントのせいで訓練の時間がとれなくなるのが嫌だったんだろうなぁ……


「ま、一旦考えんでよかよ~。二人とも~早よ帰ろ~や」

「そうですね」

「うん、二人とも良かったね!」


そうしてその日は退席して三人で帰った。







「早く行くぞお前ら」

「早っ!?」


チャイムが鳴ったと同時に先輩がクラスにやって来た。だからいつもどれだけ早く部屋に行っても先に薫先輩がいたのかと納得するのと同時にだとしても早すぎるだろうと思う。

それにしても制服姿の先輩って珍しいな……楓さんのあの姿を思い出す。やっぱり兄妹なんだな。


「飛鳥、何見てんだ。お前だけ置いていくぞ」

「行きます行きます!!」


今さっきまでの思考を捨てて鞄を持ち、急いで二人の元へと向かった。




「そ、そう云えば和泉さんと東さんの隊服って俺達のものとちょっとデザインが違いましたよね?」

「ああ、一応頼めば隊服のデザインはカスタムできるからな。」

「うんうん。清水くん知らんやったと?」


初耳だ。本当に何も知らない。薫先輩の方を向いて目で訴えてみれば


「別にどうせお前はカスタムしないだろう。それにカスタムは戦争に必要ない」


と冷たく云われた。否そうだろうけど……と少し納得してしまった。悔しい。


結構な距離を歩き少し足が痛くなってきた頃、


「着いたぞ」


薫先輩が指指した先にはお世辞にも大きいと云えないこじんまりとした建物があった。看板に『Blue Laboratory』と書いてある。

薫が強く扉を叩くと少し経った後に中から女性がでてきた。


「んあ…例の子たち?」

「はい。すみません、よろしくお願いします」

「はいはい……中おいで。」

「お前ら、絶対に熊先輩に迷惑かけるんじゃないぞ」


熊先輩?という人は建物の中に入っていき、薫先輩は俺達の背中を押した後、後ろを向きそのまま去って行った。


中に入ると見た目よりも案外広く感じた。だけど周りには沢山物が散らばっていて、足の踏み場がほとんどない。見たことのない機械とか、機械音が漂っている。


「ここ汚いよね、ゴメン。忙しくって片付ける暇もなかったんだ」


「卒業製作で忙しいときにこんなこと頼みやがって……」と声が漏れていたのが聞こえてきた。不機嫌そうだ。俺達は手招きされ、


「はぁ、めんど……マ、いいや。座って。」


と案内されたソファーに座った。


「初めまして。ここ(研究所)所属、三年の熊埜御堂光海(くまのみどうみつみ)。みんな長いから熊って呼んでるケド、好きに呼んでね。清水クンと和泉サン。よろしく。」

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