同期トハ。 二
「貴方は烏龍茶でよか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
「帰りたい……めんどくさい……」
「交流を深める良い機会だぞ!!!」
「えぇ……」
「わぁ…楽しそう」
「ふふ、そうねぇ。」
少しくらい暗くて狭い室内。外の音は何も聞こえない。モニターだけが明るい部屋──そう、俺達はカラオケに来ていた。
「第一回、同期会inカラオケ~!」
「よっ!」
タンバリン片手に場を盛り上げるちょっとバカそうな人。その他の人は拍手してたり、何もしてない人もいる。俺も拍手して少しでも場を持たせようとしていた。
「まず自己紹介!あたしから時計回りでやろっか。」
こほん、とわざとらしく云った後に急に咳に立ち腰に手を当て挨拶をする。
「あたし、和泉翠。よろしゅうね!」
左耳に青の良く映えるピアスをしている。方言が特徴。多分この人がいないと俺達の会話が進まなかった気がした。
「俺、清水飛鳥です…お願いします……」
思いきって立ち上がって挨拶をしてみたけど、思ったより声が小さくなってしまった。隣の和泉さんが静かに笑ってきて、耳が赤くなるのを感じた。
「室星碧!よろしく頼むぞ!!」
最初にバカみたいな発言してた人。思ったよりガタイが良くて、多分近接とかが得意なんだと思う。
「えぇ、おれぇ?萩原亜衣…」
髪に青のピアスを雑に着けている。一番の面倒くさがり屋なのが直ぐに分かった。なんでこいつこの学園来たんだろうって思うくらいにはやる気がなさそうだった。
「え、えっと、東和花です。よろしくお願いします。」
青のカチューシャをつけている低めのツインテールの女の子。目がずっと泳いでいて、俺に似たものを感じる。
「湊都眞依です。よろしくお願いしますね。」
青のネイルをしているふわふわした女性。お母さん気質を感じる。
「よし、これで終わりやね!」
「あの……それにしても何でカラオケ?」
「ん、だってこれが一番仲良くなれるし、これから一緒にがんばる仲やけん!」
恐る恐る手を上げて質問をしてみたら、笑顔でこの答えが。まぁ普段聞く曲に個性は出るか、と少し納得した。
その後少し雑談した後に各々歌を歌うことになった。
和泉さんはアイドル系の曲、躍りながら歌ってたけど普通に上手くて本物のアイドルみたいだった。湊都さんと東さんがデュエットで最近の流行りの曲を歌って、室星くんが無理やり萩原さんを歌わせてて……チョイスが何故かちょっと古かった。
「清水は何か歌わないのか?」
「俺、歌苦手だからさぁ……」
「歌わん?ねぇねぇ」
じりじりと左右から詰められる。最初は無視しように思ったのだが、じきに圧に耐えられなくなりマイクを受け取って曲を入れる。あんまり知ってる曲が多くないから小さい頃お母さんが歌ってくれてた曲を歌ってみた。歌っている間、部屋が静まり返っていた。久しぶりで感覚を忘れていたけど、最後まで歌えた。
「どうだった……?」
歌い終わって和泉さんの方を見てみると、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてこっちを見ていた。理由が分からずに止まっていたら、後ろから室星くんが肩を掴んできた。ゆっくり室星くんの方を見てみると、目を輝かせて
「素晴らしい歌じゃないか!感動したぞ!」
と嘘なんて一つも無いような声で云ってくるもんだから顔が熱くなって隠してしまった。
「すごかった。プロみたい。」
「ねぇ。苦手と云ってたけれど心に響く素敵な歌声だったわ。」
「まぁ良いんじゃない……?」
「ほんと、ばりびっくりした~!」
そんなこんなで皆が手放しに俺のことを褒めてくれていた。今まで俺のこの内気な性格であまり友達とかいなかったから、褒められるような経験が無かった。こんな初めての経験に幸せの海に溺れそうになって、絞り出した声で
「ありがとう、。」
と云った。けど顔は更に熱くなって、多分顔だけじゃなくて耳とかも真っ赤だったと思う。散々その後このことをいじられた。
そんな楽しかった時間もあっという間に終わり、帰路についた。戦争中だってことも忘れて遊んでいた。
「はぁ、楽しかったわ。亦こうやって集まりましょうね」
「そうだね。」
「もっちろーん!」
「賛成だ!」
多分この学園にはこんな平穏は中々訪れないんだと思うけど、こんな俺でも亦遊びたいなって思ったし楽しかった最高のメンバーだった。
これで俺の戦争初日が終了した。こんなので良かったのか、良くなかったのか。




