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閑話「オレグ宰相の恋」

※オレグ宰相の一人語りとなります。

 我が国の至宝…!!!

 あの御方の素晴らしさを一言で表すのであればこれであるが、まったく過言ではない。むしろこれ以上の言葉が見当たらず、もどかしさを感じるほどだ。

 もし叶うのであれば、あの御方の美しさと可憐さ、品格に満ち溢れていながらも時折のぞかせる親しみやすさを言葉を尽くしてお伝えしたい。


 幼少の頃よりこの国のため、この国を導かんとする王家の方々にお仕えするため、あらゆる英才教育を受けてきた。

 自由な時間など当然存在せず、終わりの見えない勉強に鍛錬、礼儀作法。しかしそれがどんなに厳しくとも、苦痛に思ったことはついぞなかった。

 国の中枢に立つ者ならば、かくあるべしとも思っていた。それが我が一族の矜持でもある。


 初めてあの御方にお目にかかったのは、私が同年代の者たちより5年早く学問を修了し、父の見習いとして伴を許されたときのことだ。


 珠玉のように光輝く瞳、花びらのような頬、艶めく髪を揺らし、天使が舞い降りたのかと錯覚した。


 眼福を得るとはまさにこのことか!!!

 

 冷静沈着に全ての物事を淡々とこなしてきた自分の中に、こんな熱情があったのかと驚きを禁じ得なかった。


 より完璧に、より高みへーー!

 

 あの御方にお目にかかってからというもの、より一層勉学に励み、社交術を磨き、感情表現に乏しかった顔も支配し、完璧に微笑むことができるようになった。

 父の跡目を継ぎ宰相の座をいただいてからも、諸侯との絆を深めて手抜かりなく基盤を作り、ついに初めて外遊の任務を仰せつかった。


 しばしの間あの御方と離れることは、身が引き裂かれるような心持ちであった。

 しかし国益のため、ひいてはあの御方の幸福のためとあらば、危険な旅路でも喜びに打ち震えた。


 帰国後、公式の謁見では残念ながらお目にかかれなかった。

 外遊の良いご報告ができたので直接お耳に入れたかったが、致し方あるまい。尊い御身、何より大事にしていただかなくては。


 なんとなく…という曖昧な言葉を使うことは好きではなかったのだが、このときは本当になんとなく、謁見の間に残り、陛下と殿下に雑談を持ちかけていた。

 そこへ、なんと…!

 あの御方がお出ましになったのだ…!!


「ご機嫌麗しゅうございますか?アンナ王女殿下…!本日はもうお会いできないかもしれないと聞いて心配で…でも心から会いたいと願っておりました。こうしてお会いできて幸せです。相変わらずのお美しさですがお体のお加減はいかがですか?とてもとても心配です」

(※オレグ宰相による意訳。あしからず。)

 

「最悪かも…」

 目を瞠った。

 そんなにご体調がお辛いのか…!?

 だがしかし、それにしてもだ。

 公式の場での完璧な作法も優雅で素晴らしいが、ぽろっとこぼれてしまったかのようなその自然体で親しみやすいお言葉もなんと愛らしいことか…っ!!!

 

「あ…、頭がまだ痛むようでして…!本当にごめんなさい、オレグ宰相。帰国したばかりでお疲れのあなたを、こんなにお待たせしてしまって…でもまさか待っていてくださるなんて、うれしい…」

(※オレグ宰相による超意訳。あしからず。)


 御身が心配だ。

 ああそれなのに、それなのに…!この私のために、このように会いに来てくださるとは…!!

 (かんばせ)だけでなくお心まで天使であらせられる…!!!


 幸甚の至り。


 ………だが、いつも気にかかる。

 あの御方のお側近く、朝に夕にと常に(はべ)っている、異国からの捕虜。敗戦国の青二才。

 馴れ馴れしくあの御方に付きまとい、媚を売って惑わそうとしているようにしか見えぬ。


 あの御方には、有益な同盟国の王族を婿にとっていただくか、もしくは

 ーー我が国で最も優秀な諸侯を代表する者と、固い絆で結ばれるのが、最もふさわしい。


 さて。我が一族の勢力を、より強固なものにしなくては。

 次の国議の下準備に諸侯を集めることに決め、口角を上げた。






ついさっきまで、書こうかどうしようかと迷いに迷ったエピソードです(笑)

ただですね…迷ったものの、今後アンナが転生前に経験してきた前世を書いていく予定なので、その際にオレグ宰相がどれだけ王家とアンナへの愛が強いのかをご覧いただいておくのもいいかも…と思って書いてみました。

オレグさん、筆者にないもので溢れているので…

なかなか難しかったです(笑)


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