自分の顔は好きか?
「男は、女よりも自分の顔への愛着が高い傾向にある」
大昔、何かの本で見かけた説。
男はたとえ、大した顔じゃなくても、それなりに自分の顔を気に入っている。しかしながら、女はパーツ、パーツにも不満があり、可能ならば変えたいと考えている人間が少なくはない。―― そんな説だったと思う。
読んだ当時の筆者は、この説に何の疑いも持たなかった。なぜなら、筆者自身も「自分大好きマン」だったからだ。
しかしながら、もし本当にこの説が正しいのだとすれば、その背景にはいったい何があるのか? これが本日のお題だ。
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まず最初に思い浮かぶのは、そのパラメータが占める「価値の割合」。
男は見た目よりも「地位や能力」を問われるケースが多い。社会に出れば。一方、女の能力は常に低く見積もられ、また地位を得るためのハードルも非常に高い。結果、女の価値は、能力や知性よりも、容姿が占める割合が非常に高くなる。一般的には。
日本でいえば、ここに「若さ」も加わってくるのだから、さあ、大変。
ISAPS(=国際美容外科学会)の調べによると、全体の整形手術のうち、約86.2%が女性、13.8%が男性という数字がある(2022年の報告)。
「意外に男も多いな」と思ったら、脂肪吸引や男性器の正常化、および拡張等も、ここに含まれるため、「顔面改造」だけの数字を出せば、もう少し割合は低くなるかもしれない。
一方、女性は男と比べると、自身の顔面の改変に、あまり躊躇がないようにも思える。いくら容姿が占める価値の割合が高いとしても。
「それはなぜか?」と考えてみた。
思い当たったのは「メイク」である。
筆者はもちろん「古い人間」なので、おふざけ以外でのメイクの経験はない。しかし、日常的にメイクをする女性にとっては、「顔を変える」という行為自体もまた、自然なこと。だとすれば、見栄えを整える「面倒くさい作業」のショートカットを可能とする「整形」という改造にも、コストが見合えば、あまり躊躇しないのも当然か。
この仮説が正しいとすれば、メイク時間の長さに比例して、整形への願望が高まるという仮説も生まれる。
―― 最近では、男もメイクする時代に近づきつつある。
特に若者世代においては。
K-POPの影響なのか、何なのかは分からないが、街の中心部に行くと、ちらほら見かけるようになった化粧男子と男たち(男子と言ってよいのは十代までだぞ)。しかし、現在のところ、顔メイク層の男子の多くは、おそらく地方からの少年のようにも見える。オシャレに必死になって、「街に負けないように」虚勢を張るのは「精神的外様」であることが、背景にあるためだ(部外者コンプレックスの裏返しからくる過飾)。―― 脱線、蛇足。
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さて、ここまでは、あくまでも「世間一般」に対する雑感と仮説。ここからは、筆者自身の「自分の顔、大好き」問題だ。
その昔、友人と話していて「どの有名人とだったら、顔を変えてみたい?」と質問されたことがあった。しばし悩んだ末、筆者は「誰とも変えたいとは思わない」と答えると「はぁ?」と呆れられた。
人間誰しも、自分を中心に考える生物なので、筆者からすれば「何を当たり前のことを聞いてきているんだ?」と感じ、「話の噛み合わないやつだな」とも当時は思っていたのだが、おかしかったのは筆者なのだろうか?
「20歳の顔は天からの贈り物。40歳の顔は自分が生きてきた人生」みたいなことを言ってたのは、ここシャネルだったか。
顔の良し悪しは、造作だけで決まるものではない。内面からにじみ出る表情や佇まいの方が、筆者的には重要だ。どれだけ造作が優れていても、表情が知性的でないのなら、何の価値もない。筆者的には。
筆者が、肉体的に改造したい部分があるとすれば、やはり「身長」か。
筆者自身は、176cmと平均よりも少し高いくらいだが、いとこ連中に180cmを超える者が複数名いる。そのため、親戚の集まりなどでは、少々居心地が悪くなることも、しばしば。これは「他者から見下ろされる」ことに対する過剰な苛立ち。なので、筆者は街歩き用の靴の中敷きの下に、ドーピング的に踵の位置を高くするあれを入れていた時期があった。本当なら、今も入れておきたいのだが、右足が外反母趾になったのでやめた。
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―― そして、本題。
男性読者に訊ねたいのだが「あなたは自分自身の顔が好きですか?」
おそらく「過半数」は、自分の顔肯定派だと思われるが、是非とも「リアクションボタン」で教えて欲しい。
自分の顔・肯定派は、ニッコリ顔のリアクションボタンを。
そうでない場合は「何言ってんだ、コイツ?」ということで、ビックリしている顔のリアクションボタンをクリック。
レディー・ゴー!
メイク仮説は、けっこう良い線言ってると思う。
メイクもする、いわゆる「ビジュアル系」は、男もけっこうな割合で整形するので。
だけど、ボトックスだけはやめとけよ。
あれは、ボツリヌス菌の麻痺毒で顔の筋肉を弛緩させ、肌をよく見せるみたいだけど、表情筋も死んで、うつのおばちゃんみたいな顔になるから、男がやるものではない。
おばあちゃんみたいな、おじいちゃんやんになってるやん。○○○。