残波
心の中のあなたと、現実のあなたが徐々に離れていく。
今何をして、何がしたいのかわからなくなっていく。
この感覚がたまらなく嫌だ。
一緒に見た景色や、会話の一つ一つが思い出となり、二度と訪れない未来を告げている。
嫌なところもあったし、不甲斐ないところもあった。
それでもあなたと生きる未来を想像して生きてきた。
突然の現実は想定を遥かに超えていた。
私の中からあなたの香りや記憶が少しずつ消えていく。
車に残るあなたの香り、
あの時着ていた服の質感、
揺れる髪の先端、
わらうとハの字になる眉。
すべては過去になっていく。
この感覚がたまらなく嫌だ。