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4ほんとに決まったんだ

 そして使用人のカティが挨拶をして来た。

 「ミーシャ様、カティと申します。私がこちらの離れのお世話をしますので何なりとお申し付けください」

 カティは私より一つ上だった。平民でこの屋敷で8年ほど働いているらしい。

 私が育った家にも使用人は数人いた。でも個人的な侍女のような人はいなかった。

 なのにいいのだろうか?と不安になるがここは侯爵家だからと受け入れなくては…


 離れは部屋はこじんまりとしていた。

 玄関を入るとすぐ右手にキッチンとダイニングをかねた部屋。奥にはお風呂があった。キッチンは朝食くらいは作れそうだ。

 左手にはリビングルームとベッドルーム、クローゼットには新調した閨用のナイトドレスや下着。当然色っぽいものが数枚あった。

 そう言えば前の旦那様にもこんな下着をつけて迫った事もあったと苦笑した。

 それに普段着以上のワンピースドレスが数枚あった。

 それもすごく可愛らしい花柄やレースがついたデザインの…

 ソファーは座り心地の良いもので同じ部屋に小さな机と椅子もセットであった。


 カティは早速キッチンでお茶を煎れて運んできてくれた。

 「ミーシャ様、お茶でございます」

 さすがは侯爵家。ポットやカップも花柄の高級品らしい。

 「おいしい~。これアールグレイじゃない?」

 ミーシャは驚く。こんな高級茶葉は子爵などでは手に入れられないからだ。

 「はい、ネイト様が少しでも過ごしやすくしてあげて欲しいとおっしゃって」

 「まあ、ご主人様が?」

 (そうだ。今日からネイト様は私の旦那様になる人。愛する人でもなければ夫でもない。ただ、子を成すための器。私のご主人なのだから)

 私は何度もそう言い聞かす。


 「あの…ミーシャ様もネイト様とお呼びすればいいのではないでしょうか?いえ、旦那様はガストン侯爵様になりますのでお屋敷ではみんなネイト様とお呼びするんです。それにネイト様もすごく気さくで優しい方ですのできっと…」

 「ああ、そうね。でも、私のご主人だから、やっぱりご主人様で…あの、それから私の事はミーシャでいいから。私、侍女なんていなかったからどうも緊張するって言うの?だから気軽にしてもらっていいからね」

 「そうですか…」

 カティは少し気が抜けたような顔をしたがまあ、そこまで気軽には出来るはずもなく。

 「では、何かありましたらこちらの紐を引いて下さい。本邸のベルが鳴るようになっていますので。今夜はお屋敷の方でお食事ですが、いつもの食事は8時、12時、19時にお持ちする予定になっています。不都合があればその都度おっしゃっていただければ…」

 「ええ、取りあえず少しずつね。ありがとうカティ。私たち楽しくやって行きましょうね」

 カティは私の荷物を解こうとしたのでそれくらいは自分で出来ると言って下がってもらった。

 「では、失礼します。ミーシャ様」

 「ミーシャでお願い」

 「はい、ミーシャ…」

 カティはそう言って嬉しそうに出て行った。


 私はやっとほんとにガストン侯爵家に来たことを認識した。

 妾になったことを…





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